main story
□8.幕間劇
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がらんとした部屋で一人、アルトアは深いため息をついた。
……仕方ない、仕方なかった。
自分に幾度となく言い聞かせるが、口から出てくるのはため息ばかり。
『国王の命令』と言って人を従わせるのは簡単だ。
王位を継いでからというもの、その言葉で幾度となく権力を振るってきた。
しかし……相手が息子となると話は違う。
「……完全に嫌われたな」
自嘲気味に微笑んで、静かに呟く。
国王としての自分と、父親としての自分。
息子と接してやる姿として、どちらが正しいのか──それは分かりきったこと。
病に伏した時さえ見舞いひとつしてやれないとは、父親の資格も無い。
こんな時、コルトのそばに母親が居たなら……少しでも状況は変わるのだろうか。
そして私自身も……。
「ランジュ、きみは何故死んだ?きみは今……どこに居るんだ?」
誰も居ない空間に切ない声で囁きかけ、アルトアは頭を抱えた。
「逢いたい………」
誰か……私のそばに居てくれ。
私から離れないでくれ。
独りはもう、嫌なんだ。
fin.