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□10.序曲
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10.序曲
泣いて泣いて……どれくらい経っただろう。
嗚咽がしゃっくりに変わり、やがてそれも収まるまで……私はひたすらコルトを抱き締め、頭を撫でていた。
「……落ち着いた?」
穏やかな口調で尋ね、そっと反応を窺う。
コルトは顔を伏せたままわずかに頷き、私を押しやる様にして体を離した。
泣きはらして真っ赤になった瞳がちらりと見えた。
「………」
だんまりを決め込む彼の手を取り、私は誰にともなく呟く。
「ちょっと休まなきゃ、ね」
このまま独り帰すのは、余りにも忍びなかった。
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