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□11.霧中の楼閣
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11.霧中の楼閣
岩だらけの荒野を抜け、立ち枯れた林を進む。
反乱軍の兵士は俺達の前後にぴったりと着いて歩き、列から抜けて逃げる者が居ないか目を光らせている。
(何人やられた?)
(……八人です。残りは十九名。
団長、本当にこのまま奴らの城へ行く気ですか?)
不安と疑惑の表情を浮かべ、隣を歩くトイが声を出さずに唇を微かに動かす。
周囲に悟られぬ様それを読み取りながら、俺は頷いた。
(勿論だ。この機会を逃がせばいつ接触できるか分からない)
(……仲間の仇を、返したい……)
トイは唇をそう震わせ、鼻をすする。
(分かってる。だがそれは今じゃない。アルトアに有力な情報を届けるまで……耐えて、生き抜くんだ)
トイの頭を乱暴に撫で、俺は隊列の先頭を行くコルビオの背中を睨み付けた。
馬上で揺られながら、奴は鼻歌混じりにシャムール一座の入国証を眺めている。
ぎり、と奥歯を噛み締めて、声には出さず奴を罵った。
(──後悔しろ。アスリトニアを敵に回したんだ、お前らは)
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