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□11.霧中の楼閣
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ラバールは喉の奥で低く笑うと脇に立つコルビオに合図を送り、玉座から立ち上がった。

そのまま広間を出るのかと思いきや、扉の前で何かを思い出したかの様に足を止めた。

「そうそう、我々が殺めてしまった貴様の仲間だが」

「はい」

俺は玉座に向かって跪いたまま、声を返す。

「骸は返せないだろう。今頃は獣たちの餌となっているだろうからな。貴様らには申し訳ないことをした」

それは感情の無い、形だけの詫びだった。

「……滅相もない。彼らの魂は、これからも一座を見守ってくれますでしょう」

その返事が届いたかどうか。
扉は大きな音を立てて閉まり、既にラバールは広間から去っていた。


「さあシド、部屋に案内するよ」

コルビオが機嫌よく声をかけてきたが、俺はすぐに言葉を返せなかった。

膝の上で握った拳が、ぶるぶると震えていた。




fin.
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