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□絶対命令。(前/★)
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「っ……!!」

俺の体に異変が起きたのは、まもなくのことだった。

なんだ?この感覚は……。
頭の芯がぼんやりと霧がかり、全身に力が入らない。

陛下は相変わらず涼しげな顔で唇を貪っていたが、やがて舌をねじ込んできた。

「んん!?へ、へいか……!?」

驚いて声を上げようとすると、途端に口付けで遮られる。
彼の舌は生き物の様に口腔を這いずりまわり、俺のそれに絡みついた。

「ん……!」

顔が上気して更に熱くなる。
息が出来ず苦しいのに……体の自由がきかない。

それどころか、下半身が反応してきてしまった。

王の膝がそこに触れ、びくりと腰が跳ねる。

「……あっ」

思わず声が出て、俺は恥ずかしさのあまり顔を背けた。
唇が一瞬離れ、陛下が小さく笑うのが聞こえた。

「……どうかしたか?ルーク」


まずい──相手は男だぞ!?
しっかりしろ!!

自分に叱咤して、全身の力を振りしぼる。

「──んんっ!!」

俺は勢い良く上体を起こし、陛下を床に押し倒した。




「……形勢逆転か」

床に仰向けに横たわり、陛下は面白がる様な口調でそう言った。
両手首を掴まれ床に押し倒されたまま、挑発するかのように俺を見上げる。

「続けるか?私は構わんぞ」

「ご冗談を!」
俺は息を切らし、やっとそれだけ呟いた。

「ルーク……ずいぶん顔が真っ赤だが、もしや初めてだったか?」

「……嘘でしょう」
からかう口調の陛下を睨みつけ、俺は呷いた。

「何がだ?」
意味が分からないとでも言う様に、陛下は眉を下げて微笑む。

「求婚の話です。……嘘なのでしょう?」

「ばれたか」

悪びれもなく舌を出して笑う陛下。
めまいがした。

「一体、何のために……」

「さあな。私にもよく分からん」

はは、と笑った陛下を見て、一気に力が抜ける。

「──だが、姫が来るというのは本当だ。あの娘は相当の男好きという話。見初められるわけにはいかんからな」

「ということは……?」

「『命令』は続行だ、ルーク。お前は私の恋人だ」

再びめまいがして来て、俺は陛下の胸に頭をついた。

「……冗談と言って下さい」

陛下は俺の背中に手をまわし、ぽんぽんと軽く叩く。

「苦労をかけるな、ルーク」


「……全くです」



to be continued...
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