another story
□いつか、誰かが。(★★★)
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ルークは私室の扉を叩く音で目が覚めた。
眠気でなかなか開こうとしない瞼をこすり、ベッドから起き上がる。
「誰だ?」
間抜けな声で尋ねるも返事はなく、分厚い木扉を叩く音だけが返ってくる。
非常事態が起きたのかと一瞬ヒヤリとしたが、返答がないところを見るとそうではないらしい。
「誰だ、ポーツネルか?」
真夜中だというのに、遠慮のない乱暴な叩き方だ。
酔っ払った部下が訪ねてきたかとため息をついて、ルークはベッドから出た。
「あのなぁ、一応言っておくが俺は上官なんだぞ。
夜中絡みにくる奴がどこに……」
ぶつくさ言いながら、扉を開く。
「い……イベルト?」
戸口に立っていた人物があまりに予想外で、ルークはぽかんと口を開いた。
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