title
□恋するキャラに10のお題
2ページ/9ページ
アルトアSS
【出会い】
「陛下、リオネをお連れ致しました」
ルークが絨毯の上に片膝をついて言う。
「……きみがリオネか」
先程この城に到着したばかりのこの娘は、緊張した様子で目の前に跪いている。
親友であるシドに託されどんな娘が来るのかと思っていたら……上げた顔を見て驚いた。
──似ている。
思わずあの娘の名前を呼びそうになり、はっとして口をつぐんだ。
そっくりというわけではない。
だが分かる。
二十年近く前に出会った、あの娘に似ているのだ。
何故だ?これは偶然なのか?
思い出が走馬灯のように駆け巡り、胸がきつく痛んだ。
──似ている。
私の妻。
私の愛。
私のすべてだったひとに。
胸騒ぎを表には出さず、私は彼女に微笑みかける。
「……私がアスリトニア国王、アルトア・ウォルゼンだ。この城を家と思い、しばしの間ここで過ごすといい」
fin.