頂きもの

□風誠透様サイト:3周年記念リクエスト
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3周年記念作品(BWNEO:ビッグコンボイ:勇希様へ)




いやだなぁ、と聞こえビッグコンボイは遙華に詰め寄る。

〈なにが嫌なんだ言ってみろ俺が潰してやる〉
『物騒だよビッグコンボイ』

そう言って遙華はジリッと後ずさる。

〈遠慮するな、俺が負けるとでも思っているのか?〉
『だからなんで戦う限定なの?』
〈…違うのか〉
『うん』
〈ならなにが嫌なんだ〉

言わないと一生追及されそうなので観念して言った。

『…ほら、惑星ニーヴってあるでしょ?あの惑星、軌道がおかしくなったみたいで雪が溶けちゃうんだって。残念だな、あそこに行けばいつでも雪が触れたのに』

トランスフォーマーとは違う独特な光を湛えた瞳は、悲しそうに閉じられる。

〈その話か、さっきベクターシグマから聞いた。まぁ、仕方ないな〉
『うん…』
〈…〉

意気消沈している遙華の頭を撫でてやる。珍しく反抗しなかった。なんとかしてやりたとは思うが、流石のビッグコンボイも惑星には勝てない。

〈…なら今から行くか〉
『え、でも行っちゃだめって放送あったばっかり』
〈まだ大丈夫だろう?予定では今日の夜だ〉
『うん…でも勝手に行って怒られない?』
〈それは知らん〉
『やだ、怒られるのはいや』
〈じゃあ行かない〉
『えー』
〈どうするんだ、行くなら早く行かないと更に危険だ〉
『…一緒に怒られてくれる?』

身長差から自然と上目遣いで見られる。

〈当たり前だ〉

即答しか選択がなかった。低い位置にある頭を撫でれば今度ははね除けられる。

〈…うん、それでこそ遙華だ〉

ちょっぴり傷ついた。

〈ビッグコンボイどこに行かれるのですか?〉

ガンホーに乗ろうとしたらナビが慌てて来た。

〈ニーヴ〉
〈…私、故障したのかもしれません。修理してもらいます〉
〈修理なら俺がいくらでもしてやるから今すぐ行くぞ、出してくれ〉
〈無茶ですビッグコンボイ!しかも遙華まで連れて!危険です!〉
『大丈夫ナビちゃん!ビッグコンボイ一緒に怒られてくれるから!』
〈そういう問題ではありません!さっきの放送を聞いてなかったんですか!?〉
〈『聞いてた』〉
〈二人してなにを考えているんですか!〉
『お願いナビちゃん!どうしてもニーヴの最後を見たいの!』
〈最後って、惑星ニーヴは爆発する訳じゃないのよ?〉
『そうだけど…』
〈もういい〉

痺れをきらしたビッグコンボイは発射装置ごと爆破した。

『ちょっとビッグコンボイ!ナビちゃんに当たったらどーすんの!』
〈俺がそんなヘマする訳ないだろう、ほら掴まれ!〉
『うわっ!』

動き出したガンホーの揺れに耐えきれずにいたらビッグコンボイの手が伸びてきた。

〈ガンホー GO!〉

緊急発進のスピードのまま宇宙を駆けるガンホー。その船内にかかる重力はかなりのものだった。

『うう…潰れる…』
〈安心しろ、潰れる時は一緒だ〉
『いや』
〈…〉
『やだやだスピード上げないで!』
〈もっと上げればすぐ着くんだが〉
『やだぁあああ』
〈うおっ遙華危ない〉

コントロールを握っていたビッグコンボイの手に遙華が掴みかかる。そんなこんなで惑星ニーヴに到着。

〈あんまり長居は出来そうにないな…〉
『(酔った…)』

足元が覚束ない遙華を抱きかかえ雪の上に立つ。一面銀世界で誰の足跡もない。 遙華は下ろしてもらい、銀に足をつけた。

『今日は、今日だけは私のもの!』

走り出す足に翻弄される結晶。

〈あんまり遠くに〉
ベシッ。

雪玉がビッグコンボイの顔面にヒット。犯人は満面の笑みで又投げた。

〈…〉

ビッグコンボイは当てられ続けながらも雪玉を作りまくり、ビッグキャノンに詰め込んだ。

『ええっ武器使うの反則!』
〈不意討ちも十分反則だ〉
『そうでもしないとビッグコンボイに当てれるわけないじゃん!』
〈安心しろ、遙華に撃つつもりは、ない!〉

空中へとキャノンを連射する。ストレスを発散させているのだろう。遙華と負けじと走り倒し、雪に倒れ込みビッグコンボイと一緒に鎌倉紛いを作った。双方気が済んだ頃、惑星ニーヴは徐々に軌道がずれている兆しを見せ始めた。

〈…遙華、そろそろだ〉
『…ビッグコンボイ、無理、私歩けない、おんぶ』

顔を真っ赤に色付け、息を白く染め上げる。

〈全く…〉

言われた通りにおんぶをしてやる。

『ふふっ、楽しかったねぇ』
〈あぁ〉
『ライオコンボイに言いつけちゃう、ビッグコンボイがライオコンボイの名前叫びながら撃ちまくってたって』
〈…何が望みだ〉
『考えとくー』
〈俺にたかるなんてお前くらいだぞ、遙華〉
『うん…』

口数が少なくなっていく。

〈ひょっとして眠いのか〉
『多分…』
〈多分って〉

やっとこさガンホーに戻り銀世界に別れを告げる。

『いつか元通りになるといいね』
〈あぁ、そうだな〉

サイバトロン星に帰って待ち受けていたのは、惑星ニーヴの雪が完全に溶けた知らせ。それとベクターシグマからのお叱りだった。

〈(まさかベクターシグマから直接怒られるとは…!)〉
『(眠い…)』
〈聞いていますかビッグコンボイ、遙華〉
〈遙華が眠そうなんで帰らして頂きます〉
〈…以前にも増して言う事を聞かなくなりましたね〉


Fin
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