螺雛おだい。

□2.「ネジ兄さん」
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「どういうことって、ヒナタとネジって婚約してるんでしょ?」
まだ、誰も知らないと思っていたことを突然言われ、心臓が飛び跳ねた。
「な・・・なんで・・・?」
何で知っているのかと言いたいのにそれ以上言葉が出てこない。
心臓のあたりから、血液が顔に昇ってくる。みるみる顔が赤くなっているのが自分でもわかった。
「なんでって、あなたたち二人が隠したからって、親伝いで広まってるわよ。」
別に隠しているわけではないのだが、お互いに自分から話さなかっただけで、まさかそれが別のルートを伝って広がっているとは思ってもいなかった。
「・・・。」
テンテンの言葉に恥ずかしさと気まずさで次の言葉が出てこない。
「将来の旦那様に『兄さん』っておかしくない?」
テンテンのその言葉で、最初にされた質問の意味を理解することができた。
従兄妹同士だが、小さい時はずっと兄妹のように過ごしてきたため、ネジに対して『兄さん』とつけてしまうのは自然のことだった。
「えっと・・・。ネジ兄さんは兄さんだから・・・」
自分でも答えになっていないことは分かっている。しかし、それ以上の答えが見つからなかった。
テンテンもそれがわかったのか、それ以上は突っ込んでこなかった。
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