FF7

□群青色
1ページ/2ページ

明かりがいらないほどの真っ白な月が、ユフィを照らす。

真っ白な肌をより白く輝かせる、それは水の青に溶け一体となっていく。

その神々しい姿は、とても眩しく、しかし、視線を外すことができない…。

ガサッ…

無意識に後ずさってしまった音に、ユフィは、はっとしてこちらに振り向いた。
水と一体化した肌が群青色の闇に浮かび上がる…。

2人の視線がぶつかる。

大きな二つの黒い瞳がゆっくり、これ以上ないほど見開いた…。

『な…!何見てんだよ!!』

一瞬で全身を朱に染め、水の中へと身体を隠すユフィ。

それでヴィンセントは我に返った。

『あ…、いや………。……すまない…。』

『謝る前に、後ろ向け!バカっ!』

ユフィの言葉に反射的に後ろを向いたヴィンセントは戸惑った。

この場を速やかに離れればいいのだろうけど、身体が前に出ない。
地面に足が引っ付いてしまったのではないかと思わせるほど、この場所に身体が
縛られてしまっていた。

そう、心が、この場を離れたくないと訴えている…。

『ヴィ…ヴィンセント!早くあっちいってよ!』

涙声で訴えるユフィに、出来るものならそうしている、とヴィンセントは心の中で答
えた。

『君が…、とても綺麗で…。もう一度みたいと言ったら…。……怒るだろうか…
。』

背中からバシャっと水が跳ね上がる音がした。

『な…なにいってるんだよぉ〜』
今にも泣き出すのではないかと思う程、ユフィの声が滲んでいる。
虐めているわけではないが、ユフィを困らせていることは重々わかっている。

『何を言っているんだろうな…』
ヴィンセントは自分に言い聞かせた。


あとがき→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ