PERSONA3・長編

□呼び寄せられた蝶のように@
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SIDE.HERO





昨日の夜……正確には今日の0時頃は、不思議だった。としか言い様がなかった。

訳の分からない、頭では処理仕切れない出来事がたくさん起こった。



静まり返った街。

滴り落ちる血。

立ち並ぶ棺。

不気味に映える月。

見知らぬ男の子と、署名。

ホルダーに納められた銃。



取り乱す事は無いが、頭の中であの光景がぐるぐる巡る。
とにかく、何か知っているなら、誰でも良いから説明して欲しい位だった。
しかし、自分が騒いで、寮の人達に迷惑を掛けるのも嫌だし、面倒事になるのも嫌なので、あえて聞きはしない。
こういう時、自分は無関心な人間なのかな………とも思う。


けど、何でか懐かしくて……
安心できて……

それでいて、哀しくて…

不思議な感じがしたんだ………







「ねえ。聞いてた?」

ふと、横に居る岳羽 ゆかりが尋ねて来た。昨夜……正確には、今日の0時辺りに出会った、同じ寮の子だ。
出会い頭、いきなり銃を向けられそうになった様なのだが、何事もなかった様に接されている。
…………なんなんだろう…。一体……。
ここに来てからわかんない事だらけ。動揺してない自分にビックリだけど。

「……聞いてた。」

「そっか。ならいいんだ。
ぇーと…門限とか厳しくは無いけど、一応意識はしてね。」

寮の話しをされていたらしい。
――…が。
同じ制服の人達とかからの視線が気になって、あんまり集中は出来てない。
とは言えず…。
ごめんなさい。岳羽さん。
心の中で謝っておきます。




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