PERSONA3・短編

□バカじゃないの?
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平凡ないつもの休日。
S.E.E.Sの面々は、個人個人に好きな時間を過ごす。
安らげる空間に、度々起こる笑い声。平和だと実感出来るひと時だ。


………………が、しかし。
平和だと思っていない人物が一人。
ロビーとを隔てているキッチン側の空間では、なぜか一部分だけ、空気の温度が低かった。

明らかに機嫌の悪い、苛々した空気をかもし出しているのは、伊織順平。
顔は笑っている様だが、眉間には皺がよっている。

しかしその横では、花でも飛んでいそうな晴々とした顔で何かを話している人物がいた。
それは、真田明彦。
順平が苛々しているにも関らず、空気を読まずに話し続けている。

「今日は買い物に出かけるんだが……交番に行った後はどこに行けば良いと思う?」

「はぁ…どこでも良いと思いますよ?」

そう。真田は今日、S.E.E.Sの皆が溺愛しているリーダーと、買い物に出かけるらしかった。
「どこに行けばいい?」
とか
「何を話せばいいのだろうか?」
などと、順平に相談しているらしい。

しかし。順平も一応、彼を狙っているわけであって……。
真田の惚気にしか聞こえてこない相談を黙って聞いているのにも、そろそろ限界が近づいてきていた。

「いつも一緒に居るが、買い物に出かけるなんてあんまりき…――「だああぁぁっ!!もう無理っす!俺、限界!!ノロケなら外でやれっ!!!」

後半は敬語なんか忘れて、テーブルを叩いて立ち上がる順平。
テレビのあるスペースのソファーに座っている面々は
「いままで良く持った!順平!!」
とばかりに、関心さえしている。

「の…ノロケ!?」

いきなりの順平の行動に戸惑う真田。
順平は軽く涙を流しながら(もちろん演技)コロマルに抱きついた。




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