PERSONA3・短編

□反則なキミのカオ
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はらりと、ソファーから立ち上がった順平から何かが落ちた。
それは一枚ではなく、4・5枚程、舞い落る。

財布も落ちた所を見ると、財布に何かを入れていたのだろう。


「順平?何か落ちたよー?」

すかさず、隣に腰掛けていたゆかりが拾い上げた。
その場に居た風花、明彦、美鶴もそれぞれの作業を止めて注目した。

「へ?」

順平は間抜けな声を出すと、床に目を向ける。

「何?これ?」

ゆかりが一枚拾い上げて、何かを覗き込んだ。

「写真?…友近君と、春兎君?あはは!何これー!?」

ゆかりはケタケタと笑い始めた。
そして、3人に見せるようにテーブルに置いた。

「…ぷっ……何ですかこれー!」

風花もクスクスと笑う。
明彦と美鶴も笑っていた。

写真には、ゆかりと順平のクラスメイトである友近と春兎が映っている。

春兎が友近の後からのしかかり、焼きそばパンを頬張る友近の顔を左右から潰している場面だった。


しかも友近の目は半開き、しかも口から焼きそばがはみ出ている。

「傑作ー!!」

ゆかりは笑いながら残りの4枚も拾う。

「あ。こんなのもあるんだ。」

ゆかりはクスクスと笑って写真の一枚をテーブルの上に置いた。

それは春兎の教室での転寝を激写したもので、苦笑するゆかりと共に写されていた。

「春兎君、かわいいー」

風花は笑う。

ゆかりは手元の写真を見る。
しかし、ある一枚の写真を見て、ゆかりの動きが止まった。

「………ゆかりちゃん?」

突然動きを止め、顔を赤くし始めたゆかりを不思議に思ったのか、風花は声を掛ける。

「説明しなさい!順平!!」

写真を勢い良くテーブルに置いて順平に詰め寄る。
立ったままだった順平は、たじろぐ様に一歩後退した。

「いや…その……」

蚊帳の外の3人は、ゆかりが置いた写真に目を向けた。

「え…」
「これは…どういう事だ?伊織」
「………!!」




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