PERSONA3・短編
□女子視点の彼等
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「はぁ……」
部屋に響いた二人のため息。
紅茶を口にしていた美鶴は手を止め、ゆかりと風花に目を向けた。
「どうかしたのか……?」
現在は午後6時。
学校は職員会議があるとかで午前中に終わり、寮のメンバーはそれぞれの時間を過ごしていた。
明彦は部活。
アイギス、春兎、順平、天田は外出。
皆何をしているのかは分からないが(明彦以外)、寮の中は静かだ。
アイギスと春兎、順平は、町を散策しているだろうと想像がつく。
ここは風花の部屋。
寮の中の女子が集まって、定期的に集会のような物を開くのは日課になっていた。
集会と言っても、甘味に舌鼓を打ちながら、会話をするだけだったりもする………。
今日もその集会を開いていた所だった。
そんな中で響いた二人のため息。
何十分か遅れてきた美鶴は、2人に何かしてしまったかと思わず身構えてしまう。
「あー……その、風花と今話してたんですけど……改めてウチの寮の男子…って言っても、春兎君と真田先輩ですけどね?
凄い人気だなぁ……って。」
「何かあったのか?」
美鶴にの声音が低くなったのを悟ってか、風花がゆかりの言葉に続いた。
「私達、色々な場所で『春兎君と真田先輩を紹介してくれ』って頼まれるんです。」
「それは……」
恐れていた(?)結果だ。
明彦は少々抜けているが、顔は良い。
その辺のモデルよりはいいだろう。
春兎だってそうだ。
何をやらせても何でもこなすし、性格も良い。
そんな2人を周囲が放っておかないのは当然だ。
「『それはちょっと…』って答えれば『抜け駆けする気!?』ですよー?鬼より怖い………」
ゆかりはため息をついて、疲れた様な表情を見せた。
「2人に迷惑を掛けたくないから断ってるんですけどね……」
風花も困ったように言う。
「良い判断さ。女の子達には悪いが、断って正解だな。」
「そうですよねー。
…………あ。でも、真田先輩って恋人居るって噂立ってるんですけど……どうなんですか?」
ケーキを食べようとしたゆかりは、思い出したように手を止めた。
「えぇっ!?そうなの!?」
「それは、私も初耳だな…」
「美鶴先輩なら知ってると思ったんですけど……。
あ、聞いた話なんですけどね、ウチの部活の先輩が、真田さんに告ったらしいんです!」
ゆかりは座り直して、好奇の目を向ける2人に向き直る。
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