PERSONA3・短編

□こんなに しずかな 夜は はじめて
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ぼんやりと、寮の天井を見上げる。


現在時刻は金曜日のPM 10:43。


ソファーでくつろぐ自分の足に顔を乗せて、身体を伸ばすコロマルの頭を撫でながら視線を巡らせた。


「寮って、こんなに静かだったんだね、コロマル………」

「わんっ」


尻尾をパタパタと振りながら、コロマルは悲しげに鳴く。

「う〜ん……これはこれで暇だなぁ…」




なぜこんなにも寮の中が静かなのか。
話は、2時間程前までさかのぼる。


『済まない。今日は学校に泊り込みで合宿がある。』

明彦は自室から降りてきて早々に、大きなバッグを手に持って言う。

『明彦もか……私も本家に帰る用事があってな。今日は本家に泊まり込みだ。』


パタリと本を閉じて、美鶴は言った。

『あ、アタシも今日は外泊します。友達の家に泊まりに行って来るんで。』

『私も居ません…家に帰らないといけないので……』

『オレッチも家に今日は帰りまーす!』

『僕は寮の友達に泊まりに来ないかって誘われてて…』


皆が口々に言う。
コロマルの相手をしていたアイギスも、ピシッと手を挙げて言う。

『私も、今日はラボに戻るのでありますよね?美鶴さん。』

『そうだ…………となると……』


全員が春兎に目を向ける。


『今日はお前1人だな…………大丈夫か?』

明彦が心配そうな顔をして尋ねて来た。
春兎は、その事か!と言わんばかりに『あぁ…』と声を漏らす。

『大丈夫です。留守番してますから、皆さん気をつけて行ってらっしゃい。』

にっこりと笑って、一番初めに明彦を送り出した。

明彦は去り際に
『鍵はちゃんと掛けろ』
『誰も寮に入れるな』
『携帯は肌身離さず持っておけ』
と、お母さんみたいな事を言って去って行った。


その後にゆかりと風花が。
その次に順平と天田が。

そして最後に、アイギスと美鶴が。

『それでは、行ってくるであります!!』

『留守番任せたぞ。気をつけてな。』

黒塗りの車に乗って、2人も去って行った。








そして、初めに戻る。



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