PERSONA3・短編

□好きとは言わないで
2ページ/8ページ



シーン…と静まった寮の中。コーヒーを継ぎ足しに、ロビーへと降りて来た……が。

「誰も居ない…」

呟いてみたが、誰からも返事は無かった。
……当たり前だけど。いつもは休日でも、最低1人は人が居る。だが、今日は誰も居なかった。

「なんだ………皆出掛けてるんだ…」

少しだけ寂しいなぁ……。何て思いつつ。
コーヒーをカップに注ぐ。ゆっくりと湯気が立ち上がり、苦い香りが鼻を擽った。

「あの人も、居ないのかな……」

………あの人。
いつも考えの半数を占めているだろう、真田明彦。
額の絆創膏が妙に似合う、俺の想い人。



「………つまんないの…」

もう一度ロビーを見直し、ため息を吐く。
部屋に戻ろうと階段へと足を踏み出した時、背後でバサリと音がした。

「!?」

驚いて振り返ると、ソファーの肘掛けから、先程は見えなかった足が覗いていた。

「………びっくりした…」

正体が分かり、とりあえずほっとした。
そして、誰が寝て居るのだろうと、確認の為にソファーに近づいて行く。




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ