PERSONA3・短編

□大好きだから。
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「……ぇ…あ、あぁ…。」

「布。落ちているぞ。」

グローブを磨いていたのだが、いつの間にか考え事に没頭して、手を止めて居たらしい。
グローブを磨く為の布を落としてしまっていた事に初めて気付いた明彦は、美鶴に言われるがままに布を拾い上げる。
その拾い上げた手の中にある布を呆然と見つめ、また動かなくなった明彦にさすがに美鶴達は不安になった。

「何かあったんですか?」

ゆかりの問い掛けに明彦が顔をゆかりに向け、数秒何かを言い掛けた後、気まずそうに視線を泳がせた。

「…何でも……無い。」

いつもと違って覇気の無いしゃべり方。
不安は募るばかりだ。

「どこか具合でも悪いんじゃ……」

「いや。大丈夫だ。何も無い。」

風花の問い掛けを遮り、真田は蓋の開いた水のペットボトルに手を伸ばす。

「…あ……」

アイギスが声を漏らした時には、水を煽ろうとしていた真田は胸元から水浸しになっていた。

「……た、大変!タオル…」

風花が慌てて席を立つ。
馬鹿な事を普段多く言う明彦だが、ここまでおかしい事は無い。それぞれが不思議な顔をして真田を見つめる。



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