NOVEL

□涼宮ハルヒの信頼
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「ん…」
目が覚める。今、何時だろ…。寝ぼけながら時計を探すけど、手にはそれらしい感触がない。
「もう…。どこよ……」
落ちてくる瞼を上げ、視界を広くする。真っ暗だ。
電気をつけようと上半身を起こした瞬間―。
ゴンッ!
頭に硬いものがぶつかる。
「痛ぁっ!!」
痛いのと驚いたのとで、目が覚めた。そっと、上を見る。
そこにあったのは、ベンチだった。頭にぶつかったのもきっとこれだ。
「なんだ、ベンチか…って、ベンチッ!?」
何で!?
あたしはちゃんと家の自分の部屋で、布団かぶって寝てたのに…。服装も、パジャマではなく普段着。周囲を見渡す。
「うそ………公園…?」
周りにあるのはブランコやすべり台、砂場など、公園特有のものばかりだった。
状況が飲み込めず、おろおろしながら立ち上がる。
とにかく人に会って、今が何時なのか、どういうことなのか、聞こう。
そしてあたしが向かったのは、確実に人がいて、24時間開店してて、明るい場所。
コンビニだった。
「いらっしゃいませー」
店員のやる気のない声があたしに向けられる。よかった。人がいて。
新聞コーナーに行き、近くにあったスポーツ新聞を取る。真っ先に見るのは、一番上。
ほかの記事なんてどうでもいい。どんな嘘をついてようがかまわない。
だって、あたしが見るのは、絶対に嘘をつかない所だから。
そして、そこを見たあたしは目を見開いた。
新聞を開いたまま立ち尽くし、状況を飲み込むのに時間をつぎ込む。
どれくらいそうしていただろう。
図ってみれば3分もなかったかもしれないけど、あたしには何時間にも思えた。
無言のまま新聞を戻し、コンビニをでる。店員が面倒くさそうに
「ありがとうございましたー」
と妙に語尾の伸びた台詞を投げかけた。そんな言葉、どうでもいい。
暗い道でため息交じりにでたのは、あたしらしくもない弱弱しい呟き。
「どうしろっていうのよ………」
ここは、4年前らしかった。
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