NOVEL

□変わらずに。
1ページ/1ページ

よく晴れた月曜日。
俺はいつものように登校し、いつものように授業をうけていた。
いつもと違うことは、いつもうるさいハルヒが後ろに居ないことと、今日が俺にとって特別な日だということだ。
「えー、今日でお前たちが入学してからちょうど一年が経つが―――」
と担任は切り出した。
そう。きっかり一年前の今日に、俺達はこの学校に入学したのだ。
なので、ハルヒがあのぶっ飛んだ自己紹介を言ってからも一年が経過している。
あの時のポニーテールは本当に似合っていた。
早いもんだな。
しばし、一年の出来事に浸ってから後ろの席を盗み見る。
ハルヒは未だに登校していない。あの迷惑団長がこんな記念日を忘れるとは思っていなかったのだが。
まぁ、この場合は何か大規模な計画を企てていて学校をサボったと考えるのが妥当だろう。
しかし。
何か落ち着かないな。
長門が世界を改変してから、少しピリピリしている気がする。
ここは深呼吸だ。
深く吸ってー……
吐い、
「遅れましたっ!」
深呼吸する間もなく、ある生徒が入ってきた。
聞きなれた声に、見馴れた制服。強気な表情は一年経っても変わらない。
ただひとつ、違うのは。
―――涼宮ハルヒがポニーテールで登校してきた、ということだ。
無理矢理なポニーテールのまま、堂々と席に座る。
目が合うと、すぐにそっぽを向いて逸らした。
そんなことをしている間に授業は終わり、休み時間を迎えた。
「なあ、ハルヒ」
「何よ」
「その髪型、どうしたんだ?」
焦ったように口調が早くなる。
「これはっ…、寝坊して、寝癖がひどかったからくくってきたのよ」
「そうか」
そう言って前に向き直る。
すると、やっぱりというか、なんと言うか。
ハルヒが背中をつついてきた。
「何だよ」
「せっかくこのあたしがポニーテールにしてきたのよ。言うことないの?」
俺は諦めたように笑うと、ハルヒの方へ向く。
その髪が乱れないようにそっと撫でてから、改めて口を開く。
一年経っても変わらないハルヒに対抗するように、俺も変わらない言葉を言ってやる。
「ハルヒ」
満足気な団長の顔は、最高に笑顔で、赤みが差していた。
「似合ってるぞ」

end.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ