NOVEL

□動揺235ページぐらいから。
2ページ/3ページ


朝比奈さん、違う……。

だが朝比奈さんは間違いなど
微塵も感じないようで、
「羨ましいですー」と
笑顔を振りまきながら
言っている。

「何が羨ましいのかなっ?」

「鶴屋さん…」

あなたまで乱入するのですか。
なんかもう収集が
つかなくなってきた。

古泉は俺に感動の笑みを向け、
俺はハルヒからの問い詰めに
適当な嘘をつき、
朝比奈さんと鶴屋さんは
絶賛戯れ中である。
その話題が俺たちなので
微笑ましく見ていられない。

俺は助けを求められる
人物を探す。

森さんと新川さん、多丸兄弟は
機関の人間だ。
助けは望めないだろう。
妹は論外だ。

となると最終的に残るのは、

長門である。



俺は視線で長門に訴える。
『この状況を
 どうにかできないか?』

長門はミリ単位で頷くと、
膝に座っている猫に向かって
なにかを呟いた。

「……」

するとどうしたことか、
動きそうに無かったぐうたら猫は
のっそりと体を起こした。

そしてウロウロと部屋を
彷徨ってから、ようやくハルヒの
隣にちょこんと座った。

「あら、
 どうしたのシャミツー―…」

「ぅにゃーぁ!」

…は?



おもわず体の動きが止まる。
この猫、なんつうでかい声
出してんだ。

「にゃーぁ!うにゃー!」

「ど、どうしたんですか?
 猫さん?」

朝比奈さんが心配気に問う。
そんな心配に気付きもせず、
前に居る猫はますます声を
大きく荒げる。

「ぐにゃぁー!にぁー!」

「う、るさ、いっ」

ハルヒが耳を塞ぐ。

「どうぞ」

すると、いつ部屋をでたのか、森さんは猫缶を差し出した。

食いつくシャミツー。
…こら、シャミセンまで
食いつくんじゃありません。

どうやら腹が減っていたらしい。

「……あ、あたしも
 あげていいっ?」

ハルヒが興味津々に
森さんに問いかける。

「どうぞ」

森さんは餌やりの使命を
ハルヒに交代すると、
もとの場所へついた。

「ほら、みくるちゃんも
 鶴屋さんも来なさいっ」

どうやらハルヒの興味は
餌付けに向いたようだ。

ひとまず、収まったらしい。
俺は溜息を漏らすと、
長門の方を見る。

ありがとな、長門。



次ページおまけ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ