NOVEL

□温暖バレンタイン
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「よう、涼宮」
「は?」
教室に入ったとたん、声をかけられる。
そこには何故か、アホの谷口が居た。……何でこんなに早く学校来てんのよ。
白けた眼差しを向けてから、紙袋を差し出す。
「あんたねぇ、バレンタインの日だけ女子と接したって意味無いのよ。普段から気をつけなさい」
「お、おう」
「ホラ、一個とって! チョコ欲しいんでしょ?」
「あ、ああ。すまん」
紙袋をさらに突きつけ、強引にチョコを取らせる。
全く、アホの谷口があそこまでアホだったなんて予想出来なかったわ。
溜息をついてから、もう一人の男子の席へ向かう。
そして、谷口にそうしたように、紙袋を差し出す。
「はい、チョコ。勝手にひとつ取って」
「あ、涼宮さん。ありがとう」
「色々と迷惑かけたしね。これくらいは当然よ」
にしても。
国木田は国木田で、努力しなさすぎって言うか……。
まあ、国木田なんてこんな奴だったわよね。自分を納得させ、席につく。
あとは、キョンだけ。
何気なく紙袋の中を覗く。
「あ…!」
そして、驚愕。
だって紙袋の中には。
チョコレートがひとつも入っていなかったから。
谷口と国木田はちゃんとひとつ取ってた……。
古泉君には自分で渡した…ってことは。
あたしが、忘れた――?
「っそれはダメよ! SOS団団長としての名が廃るわ!」
そう自分に言い聞かせ、手当たりしだいに探していく。
と。そこへ。
「…ハルヒ、何やってんだ?」
「あ、キョン……。お、おはよう」
「あ、おう」
何とも間の悪い時に、キョンが登校してきた。
もっと遅く来なさいよ! バカキョン!
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