小説
□僕は此処に居る、何時でも君を想っています
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暗い部屋。
そんなに寒くは無い気温なのに、此処の空気はいつだって冷たい。
こんなに人がいるのに。
僕はいつだって、一人を好んだ。
「俺たち…何としても生き延びような…」
「うん、トニー…みんなで生き延びよう」
くだらない団結。
ここでは、無意味なのに。
次の日トニーは大人たちの餌食となった。
逃げ出そうとしたトニーの仲間も、皆殺された。
ほらね、無意味
この世の中は腐りきっている。
信じられるのは自分だけ。
愛せるのも、気遣えるのも、自分だけ。
自分しか可愛くない。
「さぁ、来い」
血で穢れた白衣の男が僕を連れて行こうとする。
僕に触れるな
僕は無言で手を振り払い、白衣の男に付いて行く。
「お前にはこれを試そう」
薄汚れた硬いベッド。
何をするかは想像できた。
この世の中から抜け出せるのなら、死んでみるのも悪くは無い。
僕は硬いベッドに向けて自ら足を踏み出した。