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テニプリ連載中
下に行くほど新しいので連載は一番下からご覧ください。また、続きページも下が@P上がAPです。
◆キラキラ光る闇の中 

それから5日ほどたっていつものように変わらず適当に授業を受け適当にまだ決まっていなかった係や委員会の選択をして部活に行って誰かと試合をするはす゛だった。
が、その考えは彼跡部景吾の手によって止められた。

「跡部くん、私を何処に連れて行くのだい?」

気づけばずるずると引きずられていく××。
どうやら今回は樺地はいないらしい。
すると××の問いかけに反応したのか跡部がピタッと立ち止まった。

「青学に練習試合の申し込みにいくんだ。お前も付いてこい」

「青学・・・私は確かまだ逢ったこと無いぞ!?」

「だから連れて行ってやるんだよ。いいから黙って俺様の鞄もて」

「む・・・青学に連れて行ってくれるのは嬉しいがその仕事は樺地くんの仕事だろう?なぜ私がしなければいけないんだ?」

××は純粋に跡部に問いかけた。
問い掛けつつ差し出された鞄を押し返す。
跡部はそんな××の反応を差して気にもとめず再び××の問いかけに答えた。

「今日はお前は樺地の変わりだ。樺地と同じぐらい俺を尊敬しているんならそれぐらいしやがれ」

××はそれが尊敬の値だとは思わなかった。
普段から跡部と樺地を不思議に思っていた。
お互いはそれで良いのだろうが見ている分にはなんだかいたたまれないモノを感じたりする。
ただ、彼等はそう言った面で通じ合うことが出来るのだからそれは頬笑ましい限りだ。
だが、今の跡部と××はそうではないはずだ。
そんな舎弟地味た行為はまっぴらごめんだった。
が、こんな事で悩む自分はどこか子供っぽいと感じたり××は口論になる前に渋々跡部の鞄を持った。
これで今日1日自分は跡部の召使い決定だ。
××にとってはこの行為はそれだけでしかなかった。
跡部にとってこれはちょっとした独占的な感情にさせられる。
今この時点でどんな命令をしても××は聞く。
そんな事実が彼の独占欲を満たした。
最近の、いや、入学当初から彼女は自分を尊敬していたことを跡部は知っている。
それ故か、最初の××はいつも跡部の後ろを付いて歩いていた。
試合の時もずっと跡部ばかりを見ていた。
日常的な学校生活でも彼女は跡部景吾を最優先した。
余談だが、彼女はいつも跡部に引っ付いているモノの跡部のファンの女子からイジメにあったことはない。
それは彼女が男子の制服を着ているのと、彼女の性格がまったく女子として大丈夫かと言うぐらい色のあることに興味がなかったからだろう。
それを証明するかのように、男女の友情などありえないというくだらない論理を覆すかのように彼女は彼らに対してなんの恋愛感情も抱かなかった。
しかし、恋愛感情はないが彼女が心の底から跡部景吾という人物を尊敬しているのは本当である。

がしかし、学年が上がる毎に彼女は跡部に引っ付いてこなくなった。
それはきっと警戒していた向日岳人や忍足侑士、宍戸亮に芥川次郎、それに加え日吉若に鳳長太郎といった人物を受け入れたからだろう。
そのせいで××は跡部を今までのように構わなくなった。
確かに引っ付いていたりはされるがそれも減ってきている。
正直跡部はそんな××が嫌いじゃなかった。
むしろ、純粋に自分を慕い尊敬してくれる××が可愛かった。
だからそんな××の態度が気に食わなかった。
それに加えて明らかに忍足や向日は××に好意を寄せている。
2人だけではない。
三年は危ない気がするし、鳳もなんだか意識しているような気がする。
跡部は自分でも気づかない内に××を好きになっていた。
だがこの気持ちを××に伝えないのはやはり××がこういった色恋沙汰に全く興味が無さそうだからだ。
断定は出来ないが、普段の××を見ているとどうも恋愛よりテニス!といった感じだ。
もしこの気持ちを伝えようものなら“恋なんて馬鹿馬鹿しい。見損なったぞ跡部くん!”などと言われそうで跡部は恐かった。
そんな事をして軽蔑されるぐらいならこのまま××に傍で自分を尊敬してくれていればいい、跡部はそう思った。
そして彼女を独占することによって彼はその気持ちを満たしていたのだ。
今、彼女の手を握っていることも彼の心を満たしている。

「跡部くん、ここが青春学園か!なんともダサい名前の学校だなぁ!!」

「(笑顔でこいつは・・・)ああ、中はいるぞ」

こうして長い長い葛藤の最中に二人は青春学園、青学に到着していた。
跡部は学園の敷地内に入る前に××の手を離した。
これも仕方がないことだったが差ほど気には止めなかった。
こんな彼女だ。
きっと自分から誰かを好きになることはないだろうと、跡部は自分で勝手に解釈し安心を得ていた。

「!やぁ。跡部じゃないか。うちに何の用だい」

最初に不二が自分達に気付いた。

「今度の練習試合の申し出にきた。此処の監督はどこだ?」

「ああ、それならさっき職員室に行ったよ。案内しようか」

「頼む。それとコイツにお前達の練習の様子を見せてやってくれ」

「誰だい?この子。君の妹・・・じゃないよね」

「初めまして。私は氷帝学園3年の一ノ宮××だ。跡部くんとは同級生だよ」

「そう。それは悪かったね。俺は不二周介。君と同じここの3年だよ。まっててね、今他の部員連れてくるから。コートに案内させるよ」

不二はそう言って手塚部長と言う人を連れてきた。
彼のことは跡部くんから聞いたことがある。
不二は2人がここに来た理由と××のことを一通り話すと跡部と共に校舎内へ入っていった。
××は手塚に案内されてレギュラーメンバーが練習しているコートに案内される。
手塚がレギュラーメンバーに××のことを話す。
それを聞いた青学レギュラーの人は笑顔で××に宜しくと言った。

ふと試合が行われているコートに目をやると片方は確かにレギュラーだがもう一人は普通のテニスウェアだ。

「(む・・・一年か・・・)」

「彼の名前は越前リョーマ。青学テニス部の一年部員だよ」

突然眼鏡をかけた男に話しかけられた。
彼もレギュラージャージを着ている。のでレギュラーだ。

「・・・先輩と試合か。彼は・・・強いのか?」

「見ていればわかるさ」

そう言われてコート内の隅からバンダナを頭に巻いた人とその越前リョーマと言う人の試合を見る。

「(えちぜん・・・りょーま・・・聞いたことあるよいな、ないような・・・)」

暫くその試合をずっと見ていた。
××はいつの間にかその試合に釘付けになっていた。

「(越前リョーマ・・・)」

勝敗が確定する。
勝者は越前リョーマだった。
その試合を始終見ていた××の瞳には跡部の時とは違う輝きに満ちていた。
××は心の中で何度も何度も越前リョーマの名前を繰り返した。
ふと、リョーマが××に気が付く。
そしてなにを思ったか××に近付いてくる。
そして××の前でピタッと立ち止まった。
つり目が私をまっすぐに見つめてくる。
彼と××の身長は差して変わらない。
(××は3年になった今も小さいのだ)

「(な、ななななんだ!?)」

「あんた・・・」

「は、はひっ」

「一ノ宮××だよね」

「な、何で名前を知っているんだ!?」

××の必要以上に音を立てる心臓。
この気持ちは何なんだろう。
××の体が少し震える。

「あんたのこと・・・探してたんだ」

耳元までリョーマの唇が近づく。

「な、さ、さが!?(私をか!?なんで、なん、で、てか近い!!)」

「あんた・・・俺との試合、すっぽかしたよね?」

「・・・は?君との試合?何のことだ」

「すっとぼけないでよ。二年前、アメリカのジュニア大会の決勝、俺とあんただったんだ」

「二年前・・・アメリカ・・・ジュニア大会・・・あぁああ!!君があの越前リョーマくんか!!」

「思い出した?大事な決勝戦すっぽかして、後から聞いたら日本に帰ったなんて・・・ふざけるのも大概にしてよね」

「も!申し訳・・・な、い」

××は緊張で自分が何を口走っているのかわからなくなっていた。
リョーマはそんな××に眉を歪めた。
××は××で沈黙を作るまいと潰れてしまいそうな心臓を抑えて口を開いた。

「あ、あの!あ、あ、改めて、一ノ宮××、氷帝学園の3年です!よろしく!!」

「・・・は?まぁいいや。俺は越前リョーマ。よろしく、××」

そういって二人が正式に自己紹介をしているところに跡部が戻ってきて××をつれて元来た道を歩き出した。
××が去り際にリョーマにまたね、と手を振るとリョーマもまた、と手を振り替えした。

「なぁ・・・跡部くん」

「なんだよ」

「私、王子様を見つけたぞ」

「!!?$%&£%#&△◎×!?」
end&next

2009/08/15(Sat) 00:23  コメント(0)

◆キラキラ光る闇の中 

もう春か・・・と××は氷帝学園の桜の木下で手折った桜の枝を持ち一人新たな新入生を迎える時を待っていた。
なんだかんだで××はもう氷帝学園の3年だった。

「あの時言った遊園地は楽しかったな・・・」

自分が一年のとき向日や宍戸、忍足に跡部そして葵といった遊園地のことや初めて敬愛する跡部の家にに行った日のこと一ノ宮の家に来てもらったこと。
いつの間にか向日は侑士と名前で呼んだり忍足含め他のみんなも岳人と呼んでいたり、鳳と日吉と仲良くなったこと、芥川は寝てばっかりで、跡部のそばには樺地がいつもいたこと、宍戸に名前で呼べと言われて断ったこと、何故かバレンタインには女子からチョコを貰ったこと、悪気はないのに跡部を怒らせてしまったこと、怒らされたこと、どうしても2年になって男子制服じゃないといやだとダダをこねてとうとう男子の制服を着ることを認めてもらえたこと。
彼らとすごした日々が特別なものだと感じるようになったこと。
そんなくだらないことばかりを思い出していた。
それでも彼女は男子テニス部からは動かなかった。
レギュラーに選んでもらうこともできない、ましてや正式な部員とも認められないのに彼女は男子テニス部から動こうとはしなかった。
代わりにマネージャーのようなことをできる限りやった。
まるで一ノ宮××には不可能などない!!といいたげに何でもこなした。
そういったことをする代わりに時々テニス部員と試合もやらせてもらえた。
その試合で彼女は負けなかった。決して負けることはなかった。
ただ、あの入学式の日以来××は跡部とだけは試合をしなかった。否できなかった。させてもらえなかった。
跡部は彼女との試合を断り続けた。それが何故か彼女にはわからなかったが断られるたび、ひどく悲しい思いが彼女の中を駆け抜けた。
もう私達は3年なのだ。今年こそ跡部くんと試合がしたい。
彼女は心の底からそう思った。

そんなことを考えているとふと後方から声がした。

「おい、××!」

振り返るとそこには跡部がいた。
彼女は折った桜の枝を左手に胸のところまで持ち上げ、鞄を右手に持ってだらんと下に下ろしていた。

「跡部くん!おはよう。いい天気だね。まさに入学式日和だよ」

へにょんっと××は気の抜けるような声で話した。
そんな××に跡部ははぁっと盛大なため息をついた。
ふと見ると後ろにはきちんと樺地が立って彼の鞄を持っていた。

「あのな〜お前もうすぐ入学式始まるぞ!!」

「む!もうそんな時間か!私がここにきたときはまだ7時だったのに!!時間がたつのは早いな〜。あ、樺地くんもおはよう」

「ウス」

「〜〜〜〜早いな〜じゃねえんだよ。遅刻すんだろうが!さっさと来い。ホレ、樺地」

「ウス」

「な!」

するといきなり樺地くんがひょいっと私を持ち上げた。
ホラ、男子の制服で良かったって・・・

「ちょ、おろしてくれないか樺地くん!私は一人でも歩けるぞ」

「お前がとろとろ歩くより樺地に担がせるほうがよっぽど早いんだよ」

「やはり3年目も君は意地悪だな跡部くん!!」

「うるせーんだよ××!!おらさっさといくぞ」

こうして私たちの新たな学園生活はスタートします。
入学式の会場にはもう既に向日や忍足、宍戸に芥川、2年クラスには鳳と日吉も座っていた。
私達は先生に指摘されながらも何とか式開始時間までに席につくことができた。

「遅かったな〜二人して何やっとたんや?」

「忍足くんの考えているやましい事でないのは確実だぞ?」

「新学期早々冷たいなぁ××は」

「クソクソ侑士!相変わらず××に馴れ馴れしいな」

「なんや妬いてんの?がっくん」

「ち、ちげーよ!!」

「激ダサだな」

皆今入学式中だってわかっているのだろうか。
後ろで先生が凄い顔してワナワナ震えてるんですけど。
しかし新学期も代わらず皆元気そうでよかったと××は思う。
テニス部は新学期早々にもかかわらず合同合宿があると聞いていた。
なのでチームワークを乱さない彼らは××にとって本当に強い存在だった。
そして3年になった今でも跡部の会長代表の挨拶は入学当事とさして変わらないものだ。
チラリと芥川のほうを見ると既に眠っていた。
やっぱり先生がワナワナ震えてる。

「・・・そういえば、合同合宿はどことするんだったっけ?」

「忘れたのかよ、立海大付属だ」

「あぁ・・・あの王者立海か(一度手合わせしたいと思っていたんだ。王者と呼ばれるほど強いその学校と)」

××はこの一年間がひどく楽しくなりそうに思えてきた。
その思いだけに満足して跡部が代表挨拶を終える前に眠ってしまった。
もちろんその後戻ってきた跡部に頭を一発殴られたが。
ドキドキしながら見たクラス表も今年は皆と同じクラスでより一層××を嬉しくさせた。

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2009/08/14(Fri) 00:26  コメント(0)

◆キラキラ光る闇の中 

@@@「あーおーいー、今日は遊園地に行くぞ!」

朝靄が立ち込める窓の外。私はいつもより早起きをして葵に遊園地へ行くことを告げた。

「え、今からですか!?」
「そうだ!お前も一緒にだぞ?さぁ、準備をしろ!!」

あはあはと笑いながら葵のクローゼットから服を選ぶ。葵はしばし唖然としていたがすぐ笑ってはいっと返事をした。どうやら余り不機嫌ではなくなったらしい。やはり葵も遊園地とやらが好きなのだろうか。跡部くんの言うことは正しいな。すごいな跡部くん。準備ができたところでじいやにいってくる、屋敷はまかせた、とそういって葵とともにリムジンに乗り込んだ。そういえば跡部くんは跡部財団の息子だったな、車はこんなものでよかっただろうか。跡部くんの家に跡部くんを迎えに行って笑われるのはごめんだ。なんだか一人考えて苦笑をもらしたら葵がふと口を開いた。

「あの・・・××様?」
「ん?なんだ?」
「その・・・どこへ向かっているのですか?」
「あぁ、遊園地だよ。言ったではないか」
「いえ、そうではなくて」「あ、ああ。そうだ、今日は跡部くんも一緒なのだよ。先に彼を迎えに行くんだ」
「・・・え・・・・そ、そうですか」

葵もまた私とは違った苦笑を漏らした。そうして葵はまた不機嫌になってしまった。何がいけなかったんだろう。

「あ・・・ついた」

気がつけば跡部くんの家だ。思ったよりも大きいな、でもうちと同じくらいかな。運転手にドアを開けてもらい跡部くんの家の執事に案内されると跡部くんはもう外で待っていた。

「おはよう!跡部くん」
「遅い。俺を待たせるなんていい度胸じゃねえか」
「む、まだ9時30分だぞ?遅かったか?」

時計を見て言った私に心なしか跡部くんの顔が赤くなった。そんな跡部くんの後ろから忍足くんと向日くんと宍戸くんが現れた。芥川くんはいないのだろうか。
「××ちゃん聞いて。こいつ一番今日はりきっとんねん」
「30分も前からこうやってまってんの」
「激ダサだぜ」
「う、うるせえぞお前ら!」
「ははは、可愛いなあ跡部くんは。ところで君達はどうして?」
「お、俺様一人が女二人について遊園地に行くのは癪に障るから呼んだんだ」
「××ちゃん私服も可愛いで」
「君は私服でも厭らしいな」

なんだかんだで跡部くんを迎えに来たものの既にわいわいはしゃいでいる。ふと、葵のほうに振り向くと葵はもっと不機嫌になっていた。

「・・・えっと、し、紹介する。うちの侍女の「永遠(えとう)葵です。よろしくお願いします」

葵は始終不機嫌極まりないといった感じでいた。兎に角遊園地に向かうべく私たちはリムジンに乗り込んだ。リムジンのなかで向日くんと忍足くんが一番煩かった。数分ほどして遊園地についた。思ったよりも大きなその場所は言ってみれば公園の延長が最大限になったようなものだ。取り合えず誘った私が人数分の入場料などを払って中へ入った。

「おれジェットコースター乗りたい!一緒に乗ろうぜ亮」
「俺はなんでもいい」
「××ちゃん俺と一緒に観覧車乗ろうやVv」
「(スルー)葵、私たちもジェットコースターとやらに乗ろう!?」
「え、あ、はい」

なんかわいわい言っている忍足をスルーして私は葵と跡部くんの手を握ってジェットコースターとやらに向かって走り出した。その後を忍足くんと向日くんと宍戸くんがついて来る。葵は相変わらず不機嫌だし跡部くんはツンデレだし忍足くんは変態だし向日くんはぴょんぴょん跳ねるし宍戸くんは普通だし。でも何だかんだで一番楽しんだのは私だったのかもしれない。
「つぎ、つぎあれ行こう!」
「俺はいい。疲れた」
「・・・私も、少し休ませていただきます」
「んじゃ××は俺達と行こうぜ」
「せや。できれば2人っきりで行きたいけど」
「お前はちょっとだまれ」
「なんやて宍戸!」
「喧嘩をするな!ほら、行くぞ?」

ぎゃぁぎゃあ言いながら××は乗り物の方へ行ってしまった。葵は相変わらずふてくされた様な顔で跡部の隣に腰を下ろした。暫し沈黙が続く。先に口を開いたのは跡部だった。

「お前、その面何とかできねえのか、あーん?」
「・・・・・・・あなたが跡部さまですか」
「話し逸らすんじゃねぇよ」
「私はあなたと話などしたくありません」
「他所の屋敷の侍女が誰に向かって口聞いてんのかわかってんのか?あーん?」「・・・っ申し訳ありませんでした。ではこれからはこのような失態がないように口を閉じておきますね」「閉じる前に話をきけ。これは”お願い”じゃない”命令”だ」
「・・・嫌いです。あなたのような人間は」
「ああそうかよ。・・・で、聞かせてもらうぜ?その膨れっ面の理由を。見てて吐き気がするぜ」

後ろからは乗り物の動く音がする。世界の果てはここにあるのか。だとしたらきっと此れは酷い尋問に違いない。葵は隣で一緒にベンチに腰掛ける跡部景吾を心の底から疎ましく思った。疎ましいのは実際跡部景吾だけではないのだが。葵はそれでも××の友人ということで仕方なく口を開いた。これは決して跡部景吾のためではなく彼を慕う自分の主一ノ宮××のためだった。良い気分ではない。良い気分なわけがない。××の学校の女子が揃って熱を上げるこの跡部景吾と言う人間は葵にとってはゴミと同じでしかなかった。否、彼女にとって××と××の屋敷の人(彼女の肉親含む)以外はこの地球上に生きるすべてのものはゴミでしかなかった。それほど××の存在は葵の中で大きかった。

「・・・・私は、××様が生まれてずっと××様の御傍にいました」
「・・・・・」
「私は××様のことを誰よりも近くで見ていました。感情を余り表に出されない××様。だけど私にだけは違った。私といる時だけは笑ってくださっていた。それは私の自惚れかもしれないけど、××を知っているのは私だけだと思ってた。なのに――――」
――――あの日大きな笑い声と蔓延の笑みで帰ってこられた××様を見て悔しかった。あんなふうな笑顔を私は見たことがなかった。知らなかった。あんなふうに笑うことができる××様を。何より悔しかったのは、あの笑顔を作ったのが私ではなくその日初めて逢った跡部景吾と言う人間によってということ。
「悔しくてたまらなかった!!どうしてあなたなの!?どうして私じゃないの!?誰よりも××様を好きなのはこの私なのに―――!!」

言ってはぁはぁと呼吸を繰り返す葵。跡部は黙って葵の言葉をすべて聞き取った。そして彼女が話し終わったのを確認すると言葉を紡いだ。

「知ってるか?何で今日、あいつがここに来ようなんていいだした理由」
「・・・・しりません」
「お前の為なんだよ」
「え・・・」
「お前が最近機嫌悪いの気にしてお前に喜んで欲しかったんだとよ。今日ここにきたのは全部お前の為なんだよ」
「―――××・・・さま、が」


「おーい、あおいー。お前も一緒に乗るんだぞ!こっちこい」

手を振る××えを見て葵は胸の奥が暖かくなるのを感じた。自分の主は誰よりも私に優しかったことを葵は思い出した。くだらない嫉妬をしてしまったと思う。葵は無言で跡部に一礼すると××の元へ走り出した。
「(ありがとうと・・・言わなければ)」

end

2009/08/14(Fri) 00:01  コメント(0)

◆no title 

キラキラ光る闇の中

@@@

「あーおーいー、今日は遊園地に行くぞ!」

朝靄が立ち込める窓の外。
私はいつもより早起きをして葵に遊園地へ行くことを告げた。

「え、今からですか!?」
「そうだ!お前も一緒にだぞ?さぁ、準備をしろ!!」

あはあはと笑いながら葵のクローゼットから服を選ぶ。
葵はしばし唖然としていたがすぐ笑ってはいっと返事をした。
どうやら余り不機嫌ではなくなったらしい。やはり葵も遊園地とやらが好きなのだろうか。
跡部くんの言うことは正しいな。すごいな跡部くん。
準備ができたところでじいやにいってくる、屋敷はまかせた、とそういって葵とともにリムジンに乗り込んだ。
そういえば跡部くんは跡部財団の息子だったな、車はこんなものでよかっただろうか。
跡部くんの家に跡部くんを迎えに行って笑われるのはごめんだ。
なんだか一人考えて苦笑をもらしたら葵がふと口を開いた。

「あの・・・××様?」

「ん?なんだ?」

「その・・・どこへ向かっているのですか?」

「あぁ、遊園地だよ。言ったではないか」

「いえ、そうではなくて・・・」

「あ、ああ。そうだ、今日は跡部くんも一緒なのだよ。先に彼を迎えに行くんだ」

「・・・え・・・・そ、そうですか」


葵もまた私とは違った苦笑を漏らした。
そうして葵はまた不機嫌になってしまった。
何がいけなかったんだろう。

「あ・・・ついた」

気がつけば跡部くんの家だ。
思ったよりも大きいな、でもうちと同じくらいかな。
運転手にドアを開けてもらい跡部くんの家の執事に案内されると跡部くんはもう外で待っていた。

「おはよう!跡部くん」

「遅い。俺を待たせるなんていい度胸じゃねえか」

「む、まだ9時30分だぞ?遅かったか?」

時計を見て言った私に心なしか跡部くんの顔が赤くなった。
そんな跡部くんの後ろから忍足くんと向日くんと宍戸くんが現れた。
芥川くんはいないのだろうか。

「××ちゃん聞いて。こいつ一番今日はりきっとんねん」

「30分も前からこうやってまってんの」

「激ダサだぜ」

「う、うるせえぞお前ら!」

「ははは、可愛いなあ跡部くんは。ところで君達はどうして?」

「お、俺様一人が女二人について遊園地に行くのは癪に障るから呼んだんだ」

「××ちゃん私服も可愛いで」

「君は私服でも厭らしいな」

なんだかんだで跡部くんを迎えに来たものの既にわいわいはしゃいでいる。
ふと、葵のほうに振り向くと葵はもっと不機嫌になっていた。

「・・・えっと、し、紹介する。うちの侍女の「永遠(えとう)葵です。よろしくお願いします」

葵は始終不機嫌極まりないといった感じでいた。
兎に角遊園地に向かうべく私たちはリムジンに乗り込んだ。
リムジンのなかで向日くんと忍足くんが一番煩かった。
数分ほどして遊園地についた。
思ったよりも大きなその場所は言ってみれば公園の延長が最大限になったようなものだ。
取り合えず誘った私が人数分の入場料などを払って中へ入った。

「おれジェットコースター乗りたい!一緒に乗ろうぜ亮」

「俺はなんでもいい」

「××ちゃん俺と一緒に観覧車乗ろうやVv」

「(スルー)葵、私たちもジェットコースターとやらに乗ろう!?」

「え、あ、はい」


なんかわいわい言っている忍足をスルーして私は葵と跡部くんの手を握ってジェットコースターとやらに向かって走り出した。
その後を忍足くんと向日くんと宍戸くんがついて来る。
葵は相変わらず不機嫌だし跡部くんはツンデレだし忍足くんは変態だし向日くんはぴょんぴょん跳ねるし宍戸くんは普通だし。
でも何だかんだで一番楽しんだのは私だったのかもしれない。


「つぎ、つぎあれ行こう!」

「俺はいい。疲れた」

「・・・私も、少し休ませていただきます」

「んじゃ××は俺達と行こうぜ」

「せや。できれば2人っきりで行きたいけど」

「お前はちょっとだまれ」

「なんやて宍戸!」

「喧嘩をするな!ほら、行くぞ?」


ぎゃぁぎゃあ言いながら××は乗り物の方へ行ってしまった。
葵は相変わらずふてくされた様な顔で跡部の隣に腰を下ろした。
暫し沈黙が続く。
先に口を開いたのは跡部だった。


「お前、」

2009/08/14(Fri) 00:01  コメント(0)

◆RE2: 

キラキラ光る闇の中


@@@何はともあれ私の制服事件も一件落着した頃葵はとんでもなく不機嫌だった。
葵は私の侍女でこの屋敷でも私のために一生懸命働いてくれるとてもすばらしい女の子だ。
その葵がいまものすごく不機嫌なのだ。私が男子の制服で屋敷を出たときよりもずっとずっと不機嫌なのだ。

「なぁ・・・葵?」

「・・・なんですか、××さま」

あぁ、無表情で私の言葉に返事をする葵はやはり不機嫌でどうしたものかと困ってしまった。
もしかして今月に一度年頃の女になら既に来ているであろうあの期間とか、いや、違うな、私としたことが下品なことを考えてしまった。
普段から私よりも女の子らしい葵のその不機嫌な理由を考えても考えても答えは出ず、取り合えず機嫌を直してもらおうと葵が喜ぶようなものを考えてみた。
が、昔から好きなものは私と一緒、私の決めることなら彼女も賛成、彼女の世界は私中心。
何か思いつくわけもなくため息を尽きてこんな時こそ頼れる(のだろうか?)私の尊敬する跡部くんに相談してみようと思う。
コールは3回、珍しく早く電話に出た。
この前電話番号とメールアドレスを聞いておいてよかったと思う。
中学に入って私のケイタイデンワのアドレス帳は一気に増えた。嬉しい事なのだろうか。

「もしもし、跡部くんか?」

『”もしもし、跡部くんか?”じゃねーだろうがアーン?今何時だと思ってやがる』

「うむ、夜中の3時だな」

『わかってんならこんな時間に電話してくんじゃねぇ!!』

電話越しの跡部くんはどうやら寝ていたようで(まぁ中学生ならあたりまえか)ひどく不機嫌だ。
みんな不機嫌だなんてまったく私はどうしたらいいものか。

『で、何のようだ。くだらねえことだったら月曜ラケットでしばくからな』

「うちの侍女の葵がなんだか最近不機嫌なんだ。どうしたらいいだろうか」

『・・・・・』

「跡部くツーツーツー

切られた。
イラッときつつも掛けなおす。ちゃんと出るところが跡部くんらしい。

『くだらねえことだったらしばくっていったろうが!!』
「くだらないことではない!!葵は私の大事な侍女で一番の親友だ!その彼女が今不機嫌なんだぞ!こんなこと今までなかったんだぞ!私はどうしたらいいんだ跡部くん!!」
『(うっぜぇぇぇ)・・・機嫌とりゃいいじゃねえか』
「・・・・その機嫌のとり方がわからないから困っているんだ」
『アーン?お前の侍女で親友なんだろ?んなこともわかんねえのか』
「・・・・わからなくてすまないな。で、どうすればいいだろうか」
『そうだな・・・(答えが出るまで寝かせてくれねえんだろうな)・・・明日、休みだろ?遊園地にでも行ったらどうだ?』
「・・・・・・・・遊園地?それはなんだ」
『しらねえのか?あれだ、あれ、ディ○ニーラ○ドみてえなやつだ』
「それで葵は喜ぶのか!?」
『しらねえけど女はああいうところが好きだろ?』
「そうか!わかった。やはり君に相談してよかったよ跡部くん!!ついでに君も一緒に行こう!!それじゃあ」
『は!?おい。まっツーツーツー切りやがったあの女』

こうして明日は葵をつれて遊園地に行くことになった。
じいやが貸切云々といっていたがよくわからなかったので知らぬ振りをした。
それに跡部くんを葵に紹介できるいい機会ができた。
その夜はドキドキして余りよく眠れなかった。


next

2009/08/13(Thu) 23:59  コメント(0)

◆no title 

私×日記×小説
続き

@@@

「(私だってマネージャーなんか・・・したくないっ)」

「ねぇ、香月さん。いいよね?」

「(したくないけど)」

逆らえば殴られる、ミスをすれば汚される。選ばれたんだ、私は。もう逃げられそうにない。
私はただ静かに学校生活を送りたかっただけなのに。
目立たないようにしてたのに。

彼の狂気に満ちた瞳は私を捉えて逃がさなかった。


「あ、香月。購買行ってパン買ってきてよ」

「え・・・でも、授業始まっきゃぁっ!!」

「そんなのしらねぇよ。行けよ。あ、あとさ・・・次タメ口なんかで話たら手折るから」

「――――――は、い・・・」


赤くなった頬を抑えて私は暫し放心状態だった。
しかし再び頬を叩かれ私はこれからのことを考えながら購買へ走った。
きっともうあの静かな日々は戻ってこないんだろうな。
ただ、平穏を求めていただけなのに。
ただ、それだけなのに。

私のプロローグは破滅を刻んでいた。


夏の暑さは私の心を掻き乱す。
あの悪夢の日から何ヶ月たっただろう。
この残酷な現実から逃げ出す術はないけど。
自分の身体にできた痣と切り傷を数えて教室の机の向かい側に座る幸村精市を見た。
未だに私はよく思うことがある。


「ねぇ、幸村さん」

「・・・」

「私時々・・・思うことがあるんです」

「・・・」

「私・・・人を傷つけて嗤い傷つけられた人の痛みも分からない、知ろうとしないアナタを最早人間とは思いませんから」


そう言うと幸村精市はまた私に暴行を与えた。
でももう構わなかった。
アナタはとっくに人間じゃないことを認めたんだから。
ほら、アナタにはワカラナイデショ?
傷つけられた人の気持ちが。
痛いと、哀しいと叫ぶ私の気持ちが。
だってアナタは人間じゃないもん。
ねぇ、そうでしょ?


私は薄れ行く意識の中で昨日聞いた噂の内容を思い出していた。
前のテニス部のマネージャー。

彼女は今、病院の精神科にいるらしい。

もうずっと永いこと眠っていて、目覚める見込みはないらしい。


end

2009/08/13(Thu) 23:59  コメント(0)

◆no title 

わたし×日記×小説
私の日々の感じた想いを日記に交えて書き綴る小説
書き綴るといっても物語の中に隠れてるだけ。
アナザージャンルで不定期更新

@@@

プロローグは大したことなかった。
ただ一日を静かに過ごしていた。
誰にも見つからないように、だけど誰かに見つけてほしいと思いながらひっそり学校生活を送っていた。
そんな風に目立たないように、いらぬ騒ぎに巻き込まれないように生きていた私に不幸は突然に唐突に飛び込んできた。

「・・・香月××さん?」

綺麗すぎる笑みを浮かべて彼は私の前に立ち憚った。
蒼い髪に白い肌、その綺麗な顔によく似合う笑顔。
彼はこの立海大付属のテニス部部長、幸村精市だ。
その美しい容姿から彼はよく女性にモテていたな。
ファンクラブがあるぐらいだもんな。
そんな彼が一体私に何の用なのだろう。
彼といると兎に角目立つ。
出来れば彼とは関わりたくなかった。
彼だけでなくテニス部のレギュラー達には関わりたくない。


「・・・何?幸村・・・精市くん」

「ちょっと、一緒に来てくれるかな?」

「・・・え?」


様子からしても告白なんかではないことは確かだ。
私のような目立たない女子にきっと幸村精市は興味などないだろうし。
余談だが私は自分の容姿を可愛いとは思ったことはないが不細工だと思ったことはない。
周囲曰わく“香月さんは可愛いではなくて美人なんだよ"らしい。
兎に角そんなことは置いておいて私はゆっくりと立ち上がった。
ふと周りを見ると女子生徒が幸村精市に熱を上げていた。
幸村精市の方を見ると始終笑みを浮かべていた。
そしていつまでももたもたしている私に痺れをしていたのか私の手首を掴んで彼は歩き出した。
ふとその瞬間私の頭の中のサイレンが鳴り響いた。
逃げないと
しかし手首はしっかりと、痛い程に捕まれていて逃げられそうにない。
でも頭の中のサイレンは鳴り止まない。
気がつけば使われていない空教室に連れてこられた。

「なに・・・するの・・・?」

「知ってる?最近ウチの部のマネージャーが辞めちゃったんだ」

「!!」

唐突に話し出した幸村。
“マネージャーが辞めちゃったんだ"
幸村精市は私をテニス部のマネージャーに誘おうとしている?
嫌な汗が私の背中を這った。
もしそうなら自分をテニス部のマネージャーになれるなんて嬉しいと思うだろうが私は・・・いや、この学校にいる半数の女子はきっとそうは思はないだろう。

「ねぇ、香月さん」

「な、何かな?」

「何かなじゃなくてさ、マネージャーやってくれないかな?テニス部の」

「い、い「君に拒否権なんてないよ」

「!!」

私の頭の中のサイレンはもう鼓膜を破るんじゃないかってぐらい激しく鳴り響いていた。
こわい、たすけて、だれか、だれか、だれか!!
私は知ってるの、前のテニス部のマネージャーがどうして辞めてしまったのか。
あれはただ仕事をさせられていたんじゃない。
逆らえば殴られる、ミスをすれば汚される。
彼が求めているのはマネージャーなんかじゃない。
忠実な下僕だ。
前のマネージャーはそれに耐えられなかったらしい。
急にいなくなってしまった。
だからその噂を知っている女子はマネージャーにだけはならなかった。

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2009/08/13(Thu) 23:59  コメント(0)

◆no title 

続き・・・
はやくheroineとのラブが書きたい。なんかべ様とかどうでもいい
@@@

入学式の次の日。
××は相変わらず男子の制服を着て登校した。
昨日壊れたしまったような罰罰を見て一層不安になる葵の気持ちなど露知らず、××はテニスバッグも忘れないように肩にかけるとその日も自分で学校へ行った。

「(跡部くんはちゃんと学校に来ているだろうか。いや、来ない訳がないよな。何せ氷帝学園のキングなのだからな!)」


一人勝手なことを思いながら駅まで歩いてくると同じ氷帝学園の制服を着た学生を発見した。
あの髪の毛に眼鏡は


「・・・君、忍足侑士くんじゃないか」

「そうゆうあんたは昨日の・・・」

「一ノ宮××だよ。以後、覚えておいてくれ」

「一ノ宮って・・・あんた金持ちのお嬢さんやないか。何で徒歩移動しよんや」

「私の勝手だよ」


薄く笑みを零しながら××は電車に乗り込む。
それに続いて忍足が乗る。


「ところで忍足くん。君の昨日の試合、見させてもらったよ」

「俺もあんたの試合見してもろた・・・あんた、強いな」

「はは、君が言うのか・・・まぁ、ありがとう。そういう君も強いじゃないか。忍足くん」

「・・・その忍足くんってやめてくれへん?侑士でええわ。俺も××って呼ぶし」


動く電車の中で××と忍足は壁にもたれ掛かって話す。


「あぁ。わかった」

「ほれともう一個聞きたいことあんねんけど」

「?なんだ?」

「何で××は男子の制服着とんや?・・・もしかしてレズか?」


アホな質問をしてきた忍足を右ストレートで殴る××。
一つ目はいい。なんだ”レズ”って。馬鹿にしてるのか。


「〜〜〜〜〜〜〜〜った〜〜〜何すんねん!!」

「私はレズではない。ただスカートを履くのが苦手なだけだ!」

「殴らんでもええやろ!」

「むっ・・・そうだな。悪かった」

「それにしてもスカートが苦手って・・・履いた事ぐらいはあるやろ?」

「・・・いや。ここ5,6年間は履いていないな。幼少期も記憶が曖昧で思い出せない・・・」

「なんやもったいない!せっかく女に生まれたんやからスカートぐらい履きいや。折角の美脚がもったいないで」


そう言いつつ忍足は××の脚を征服の上から触った。

「うわ!(・・・脚の筋肉に無駄がない・・・女子でこれだけ体鍛えれるって・・・)――――!!!」


ふと上を見上げた忍足。
そこには哀れみと殺意を含んだ××の顔があった。
なんだろう、この魔界から大魔王呼んじゃった的な雰囲気は。

結局その後は他愛もない話をして学校へついた。
学校へついたまではよかった。



『おい。一ノ宮××。今すぐ生徒会室へ来い』



「今の跡部ちゃう?」

「跡部くんか!どうしたのだろうな。兎に角いかなくては!!」



そう言うと××は忍足を置いて走っていってしまった。



「跡部と俺に対しての性格がちゃうんは・・・気のせいなん?」



***************************************

―――生徒会室―――



バタンッ!っと音を立てて××は生徒会室に入ってきた。
すると今まで外に向いていた生徒会長の椅子がこちらへ向いた。
その椅子には入学早々この学園の皇帝になった跡部がいた。


「来たか、××」

「おはよう跡部くん。君は生徒会長にもなったのか?すごいなあ。で、今日は何のようだい?」

「アーン?”何のよう”だ?それはお前が一番よく知ってるんじゃねえのか」

「・・・私が、か?・・・すまないが心当たりがないなぁ」

「その格好で心当たりがないだと?」

「・・・・・・・・まさか君もこの私の格好が気に入らないのか」

「気に入る気に入らねえの問題じゃねえんだよ。この学園に来たからにはこの俺様のルールに従ってもらう。男子は男子の、女子は女子の制服を着ろ!」


そういって跡部がパチンっと指をならした、。


「おお!君は指パッチンもできるのか!!いいなぁ、格好良いなあ」

「黙れメス猫。今日からお前はこの制服だ」


そういって目の前に出されたのは女子の制服とその他一式だ。


「・・・・いやだ。いやだ跡部くん!私はそんなもの一切着ないぞ!!」

「アーン?そんなにいやなら着なくてもいいぞ?」

「本当か?なーん「そのかわり」?」

「俺様の決めたルールに従わねえならテニス部への入部を許可できねえなあ」

「な!!」

「・・・どうする?××」


キラキラ光る暗の中

(あ、××ちゃんだC-)(一ノ宮?!女子の制服・・・何があったんだ)(・・・これもテニスのためなのだよ・・・死にたい||||)(可愛えやん、××)(お、おう・・・そうだぜ)

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2009/08/13(Thu) 23:59  コメント(0)

◆no title 

お題を作ってみた

@bestfriendよ永遠に
Aworldendに映るもの
Bskywalkでデート
Cundergroundに監禁
Dmadhouseの出逢い

なので書いてみました。
素敵な素敵な幸村くんで(〃▽〃)
でも夢とか云々ない。
heroineはおっとり関西人


@@@

私には大切な友達がいた。
小学校からの友達で一緒に立海大付属に入学した。
そんな私の大事な友達はいま、捕らわれの身だった。


「△ちゃん、また部活?」

「うん。マネージャーだからね。ごめんね、××」

「ううん。私はええの・・・ただ、そのマネージャーって本当に△ちゃんがやりたくてやってるの?」

「え(ドキッ)あ、あったり前でしょ〜。嫌ならそんなのしないよ」


笑いながらそれじゃぁね。また明日。と言う△ちゃん。
でもね、△ちゃん。
私は知ってるんだよ?
△ちゃんが凄く疲れてるの。
凄く苦しんでるの。
知ってるんだよ?


夕暮れに染まる廊下。
真っ赤に染められる


私達。



「どうしたの?××ちゃんから呼び出してくれるなんて」

「あ、あのね、幸村くん。お願いがあるの」

「お願い?何かな?」


笑う幸村くん。
優しく笑う幸村くん。
ねぇ、幸村くん。
あなたは・・・


「△ちゃんのことなんやけど・・・△ちゃんってほんまに好きでマネージ「あぁ、△さんね」

「(ビクッ)!!」

「××ちゃんの友達だよね。どうせなら一緒に部活に来てくれればいいのに。見学なら大歓迎だよ」


幸村くんは強く私の台詞を遮ってニッコリ笑いながら言った。


「いや、それはっ・・・その」

「ふふ・・・それで、お願いって何かな?」

「そ、その△ちゃんをもう苦しめんといて・・・!!」



自分でも思った以上に大きな声が出た。
言ってしまった。
あの幸村精市くんに。
冷や汗が止まらなかった。
でもこれで△ちゃんが解放されるなら構わなかった。

「私、知ってるんやで。△ちゃん、幸村くんに脅されて仕方なくテニス部のマネージャーやらされてるって」

「△さんから聞いたの?」

「それは・・・違うよ。他の子から聞いたねん。・・・・・・ねぇホンマなん!?何でなん!?何で△ちゃんなん!?」


私は思わず幸村くんの胸倉を掴んでいた。
掴んでいたと 言っても軽く、軽くだが。
それにも幸村くんは動じない。


「―――――違うよ。△さんは望んでマネージャーになったんだよ」

「そんなん嘘や!だって△ちゃん全然楽しそうちゃうもん!!めっちゃ苦しそうやもん!!!」

「ねぇ、××ちゃん」

「な・・・な、に?」

「君は優しいね」

「――――――・・・っ」



幸村くんは赤い夕日に照らされながら始終優しすぎる笑みを浮かべていた。




幸村は××が去った後の廊下に一人佇んでいた。


「あーあ・・・嫌われちゃったかな」


幸村は苦笑を零した。
そのまま窓の外を見ながらこんな事になるキッカケを作ったあの日の出来事を思い出した。

あの日は名前も知らない女子に呼び出されていた。
正直告白とかウザイし俺は××が好きだからそんな女には微塵もない。

取り敢えず“ウザイ”“邪魔だよ”“消えて”そう言っておいた。
勿論女は驚いていたし、こんな台詞は他の人聞かせられないな。

なんて思っていると偶々通りかかった××の友人、△に聞かれていた。
俺は口止めしようとしたら先に向こうが口を開いた。

(お願い!××の前だけではあんなとこ見せないで)

(××、あんたに憧れてるんだ)

(何でもするから)

(お願い)


それなのに・・・


「恋って巧く行かないね」



bestfriendよ永遠に

(どうしてさっさと伝えなかったんだろう)(馬鹿だな・・・俺も)



end

2009/08/13(Thu) 23:58  コメント(0)

◆no title 

続き

@@@

目覚めたのは随分と時間がたってからだった。
(テニス部の見学に行こうと思ってたのに・・・)
起き上がって欠伸をしながらどうでも良さそうにそんなことを思った。
帽子を被って枕代わりにしていたテニスバッグを肩に掛けて立ち上がろうとしたらなんだかやけに騒がしい。
騒がしい声のする方へ行ってみると、先ほど喧嘩を売ってきた男子二人と例の跡部という男子がテニスの試合をしていた。
芥川という少年がそれを見守っている。その彼の隣に静かに立った。


「あ!・・・君は」

「やぁ、少年。これは何をしているんだい?」

「跡部くんと二人がテニス部のキングの座を賭けて戦ってるんだ・・・っていうか君ここ入ってきていいの?」

「まだ君は私にそんな偏見をもっているのか。しかし・・・ふん、先輩方もみな倒されたのか・・・おっと、あの二人も負けたそうだぞ」

「!!そんな・・・って、あ!君」


二人が負け、試合が終わったことを確認すると××は跡部の前に出て行く。
ニュアインな笑みを浮かべる××は跡部と目が合う。

「アーン?何だお前」

「今日入学した一年だよ」

「お前か。女の癖に男の制服で校内をうろついてるって奴は」

「・・・お前もか。まぁいい。お前、テニス強いな・・・私と勝負してくれないか?」


尚皮肉な笑みを浮かべながらテニスバッグからラケットを取り出す。


「―――――いいだろう。だが俺様は女だからって容赦しねぇからな」

「望むところだよ」



***********************
―――一時間後


「・・・はぁはぁっ・・・」


勝敗は一点差で××の負けだった。


「あいつ・・・負けたけどスッゲェ強いぞ」

「惜しかった〜」


汗だくになった××はコートの上に座り込んで天を仰いだ。


「ま・・・負けた・・・」

「(なんつー女だ・・・本気になっちまったぜ・・・)おい、お前。名前は・・・」

「はは・・・ははははは・・・あはははははは」

「――――はっ?」


「おい、アイツ頭打ったのか?」

「知るかよ」


「はぁ、はぁ・・・・・・、しょっと」



大声で笑った××はまだ尚笑いながら立ち上がりネットに歩み寄った。


「アーン?」

「君はすごく強いなぁ!!私は実に感動した!!」

「な!!?」

「なに言ってんだアイツ」

「是非君の元でテニスをやらせてくれ!!跡部くん!!」

「その前に名前を言いやがれ!!」

「おぉ、そうだ。済まなかった!私の名前は(一ノ宮)××と言うんだ!!よろしくな!!」




キラキラ光る闇の中


(勝手に自己完結しやがったこの女!)(へぇ・・・××っていうんだ・・・)(・・・岳人?)


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口調と性格が謎
テニプリのキャラなんて忘れたorz

2009/08/13(Thu) 23:58  コメント(0)

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