day

memory
テニプリ連載中
下に行くほど新しいので連載は一番下からご覧ください。また、続きページも下が@P上がAPです。
◆キラキラ光る闇の中 

もう春か・・・と××は氷帝学園の桜の木下で手折った桜の枝を持ち一人新たな新入生を迎える時を待っていた。
なんだかんだで××はもう氷帝学園の3年だった。

「あの時言った遊園地は楽しかったな・・・」

自分が一年のとき向日や宍戸、忍足に跡部そして葵といった遊園地のことや初めて敬愛する跡部の家にに行った日のこと一ノ宮の家に来てもらったこと。
いつの間にか向日は侑士と名前で呼んだり忍足含め他のみんなも岳人と呼んでいたり、鳳と日吉と仲良くなったこと、芥川は寝てばっかりで、跡部のそばには樺地がいつもいたこと、宍戸に名前で呼べと言われて断ったこと、何故かバレンタインには女子からチョコを貰ったこと、悪気はないのに跡部を怒らせてしまったこと、怒らされたこと、どうしても2年になって男子制服じゃないといやだとダダをこねてとうとう男子の制服を着ることを認めてもらえたこと。
彼らとすごした日々が特別なものだと感じるようになったこと。
そんなくだらないことばかりを思い出していた。
それでも彼女は男子テニス部からは動かなかった。
レギュラーに選んでもらうこともできない、ましてや正式な部員とも認められないのに彼女は男子テニス部から動こうとはしなかった。
代わりにマネージャーのようなことをできる限りやった。
まるで一ノ宮××には不可能などない!!といいたげに何でもこなした。
そういったことをする代わりに時々テニス部員と試合もやらせてもらえた。
その試合で彼女は負けなかった。決して負けることはなかった。
ただ、あの入学式の日以来××は跡部とだけは試合をしなかった。否できなかった。させてもらえなかった。
跡部は彼女との試合を断り続けた。それが何故か彼女にはわからなかったが断られるたび、ひどく悲しい思いが彼女の中を駆け抜けた。
もう私達は3年なのだ。今年こそ跡部くんと試合がしたい。
彼女は心の底からそう思った。

そんなことを考えているとふと後方から声がした。

「おい、××!」

振り返るとそこには跡部がいた。
彼女は折った桜の枝を左手に胸のところまで持ち上げ、鞄を右手に持ってだらんと下に下ろしていた。

「跡部くん!おはよう。いい天気だね。まさに入学式日和だよ」

へにょんっと××は気の抜けるような声で話した。
そんな××に跡部ははぁっと盛大なため息をついた。
ふと見ると後ろにはきちんと樺地が立って彼の鞄を持っていた。

「あのな〜お前もうすぐ入学式始まるぞ!!」

「む!もうそんな時間か!私がここにきたときはまだ7時だったのに!!時間がたつのは早いな〜。あ、樺地くんもおはよう」

「ウス」

「〜〜〜〜早いな〜じゃねえんだよ。遅刻すんだろうが!さっさと来い。ホレ、樺地」

「ウス」

「な!」

するといきなり樺地くんがひょいっと私を持ち上げた。
ホラ、男子の制服で良かったって・・・

「ちょ、おろしてくれないか樺地くん!私は一人でも歩けるぞ」

「お前がとろとろ歩くより樺地に担がせるほうがよっぽど早いんだよ」

「やはり3年目も君は意地悪だな跡部くん!!」

「うるせーんだよ××!!おらさっさといくぞ」

こうして私たちの新たな学園生活はスタートします。
入学式の会場にはもう既に向日や忍足、宍戸に芥川、2年クラスには鳳と日吉も座っていた。
私達は先生に指摘されながらも何とか式開始時間までに席につくことができた。

「遅かったな〜二人して何やっとたんや?」

「忍足くんの考えているやましい事でないのは確実だぞ?」

「新学期早々冷たいなぁ××は」

「クソクソ侑士!相変わらず××に馴れ馴れしいな」

「なんや妬いてんの?がっくん」

「ち、ちげーよ!!」

「激ダサだな」

皆今入学式中だってわかっているのだろうか。
後ろで先生が凄い顔してワナワナ震えてるんですけど。
しかし新学期も代わらず皆元気そうでよかったと××は思う。
テニス部は新学期早々にもかかわらず合同合宿があると聞いていた。
なのでチームワークを乱さない彼らは××にとって本当に強い存在だった。
そして3年になった今でも跡部の会長代表の挨拶は入学当事とさして変わらないものだ。
チラリと芥川のほうを見ると既に眠っていた。
やっぱり先生がワナワナ震えてる。

「・・・そういえば、合同合宿はどことするんだったっけ?」

「忘れたのかよ、立海大付属だ」

「あぁ・・・あの王者立海か(一度手合わせしたいと思っていたんだ。王者と呼ばれるほど強いその学校と)」

××はこの一年間がひどく楽しくなりそうに思えてきた。
その思いだけに満足して跡部が代表挨拶を終える前に眠ってしまった。
もちろんその後戻ってきた跡部に頭を一発殴られたが。
ドキドキしながら見たクラス表も今年は皆と同じクラスでより一層××を嬉しくさせた。

next

2009/08/14(Fri) 00:26

[コメント書込]

[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ