短編集2

□「ベッドの上で揺れるきもち」
1ページ/1ページ

体がだるい。情事後だから。いつも蛭魔は乱暴だ。高ぶる気持ちが抑えられないみたいに、糸が切れたみたいに激しい蛭魔、すき。骨が少しゴツゴツしてる体とか細い指とか色っぽい声とか息遣いとか、全部すき。すきですきでたまらない。
(だけど、)
言えない。アタシは体だけ蛭魔と繋がっているだけ。ただ快感を共有しているだけ。きっと蛭魔もアタシをただの快感を求める尻軽女だと思っているに決まってる。実際、体だけでもあなたと繋がれるなら、アタシは幸せなの。アタシしか知らない彼がいる。これ以上の幸せを望むなんて、わがままなんだと思う。わがままだ、わがままだよ。分かってる。
(でも)
ねえ、あなたはなにを考えながらアタシを抱くの?あなたの声で教えてほしい。すきなんだよ蛭魔。あなたがすきなんだよ。ああ、心の中でならいくらでも言えるのに。すきすきすきすきすきすきすきすき
「すき…」
やっと呟くことのできた言葉、あなたにはきっと聞こえていない。






(気付かないでいいよ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ