めいん

□芥川慈郎という男
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【日吉】


「おめぇ、もっと笑えよ。」

「つまんねーやつ。」


つまらない人間?
結構だ、勝手に言ってろ。
最低な人間なのは、あんたの方だ。
俺にとっての下剋上の対象にすらならない。

それが、芥川慈郎だ。


「鳳はおもしれぇし、樺地は優C〜けど、おめぇはつまんねぇよ。」
「……俺に鳳みたいな面白さを求められても困ります。」
「じゃあさ、せめて笑ってくんねぇ?おめぇの顔怖ぇもん。」
「……。俺が笑ったら不気味でしょうよ。」
「…たしかに、嘲笑ってるようにしか見えねぇかもな…。」
「……。」


失礼な言葉もさらっと言ってくる。
俺が後輩だからって、なめてるのか?
それとも、失礼なことだと解っていないのか…。
こんな人が、跡部部長に次いで忍足さんとシングルス2を争う人とは到底思えない。
…というか、俺は認めたくない。


「日吉はー、おれ専属の後輩になったらEーじゃん。」

「は?」


…また、訳のわからないことを。


「だってさー、あとべには樺地がいるCー、宍戸にはチョタじゃん?」
「……。」
「だからおめぇは今日からおれ専属のぱしりになれ。」
「は?!」


ぱしり…??!


「…芥川さん、後輩はパシリじゃないですよ。」
「日吉って言いにくいよなー、今日からおめぇ"ぴよ"ね?おれがぴよって呼んだらちゃんとついてこいよ!」
「……。」


人の話を聞けよっ!
しかもその変なあだ名…。
なめやがって…。


「下剋上だ…。」
「ん?ぴよ何か言ったかー?」
「……いえ。」


こうして、俺は俺の掲げる下剋上のもと、芥川慈郎を叩きのめし、ついでにレギュラーから引きずり降ろす決断をしたのだった。


「よしっ、じゃあ早速試合しよーぜ!ぴよの演舞テニス、かっちょAもん!」
「……。」


そこまで言われたら、やるしかないだろ。
数分後、俺は自分の下したその道が険しいことを身を以て知ることになる。


芥川慈郎は、本物だった。




【日吉】


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