幾つもの夢
□ヘビーローテーション
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人生初デート。
誰もが一度は通過する通過点。
つか、みんなどうやって通過してんだ!!??
高鳴る鼓動が抑えきれなくて、会う前から動揺しまくる俺。
うまくやろうとか、思ったらきっと失敗する。
んでも、うまくいかねーのも嫌だ。
帰ってこい、俺の平常心!!!
「ヘビーローテーション」
「なー今日の花井変じゃね?」
「たしかにソワソワして落ち着きねーな」
「べ、別にんなことねーよ!!」
部活は今日ほぼ自主練だ。
帰ろうとしているのは弟しかいないから早く帰る栄口と委員会にいった西広と、俺だけだ。
みんな残って自主練すんのにキャプテンの俺が帰るのって、マズくねーか?いや、マズいよな。
と思って、一応親に用事頼まれたから、ととってつけた嘘の名目はしたが、荷物を速攻で片付ける俺の様子は泉と田島の興味をひいてしまったようだ。
「花井はいつも変だよ」
「てめ、阿部!!喧嘩うってんじゃねーよ!!」
「そうそう、センター返しっていいながらライトに打ってたのも今日だけだ」
「ほっとけよ、水谷!てめーこそ言った方向に一回でも飛ばしてから言ってみろ!!」
勢いよくバッグを担いだが、ちゃんと閉めきっていなかったバッグから紙が一枚滑り出た。
Σやっべ、これは・・・・・!!
キャッチしようとして、ちょうど部室の窓を沖が全開にしたせいで、隅にいた三橋のほうにまで紙が飛ばされる。
「・・・か、ラオケ・・・30分無料・・・?」
悪げナシの三橋が、拾った紙を読み上げちまったのを奪い取り、俺の勢いにビビった三橋に「わりーサンキュ!」とフォロー入れて、
「明日も遅れんじゃねーぞ!!!じゃな!!」
超、俺不審者!!!!
でも、もういそいで向かわないと待ち合わせにはギリギリで、部室のドアをあけようとして俺はしたたかに道具箱に足を打ちつけた。
「いってぇぇぇ!!!くっそ、ここに置くんじゃね・・・・ああ、間に合わね・・・!?」
飛び出して、チャリにのった俺は、なんて言おうか、もし遅れたら?そんなことしか頭になかった。