オールジャンル花言葉夢

□我が最強のアルストロメリア
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朝起きて学校へ行く零に、私がお弁当を渡す。
私は寝に入る。
零は学校と棋士の対局。


夕方、零が帰ってくる。
私を起こす。
買ってきた食材で一緒に夕飯を食べる。

夜、私は出勤する。零は棋譜を見ながら送り出して、寝る。


共有するのは夕方だけ。




それでも、家族ごっこは楽しかった。

ある日、部屋を散らかしていたら零が怒って片付けた。そんな零を怒らせたくて、わざと散らかすようにした。

ーーーねえちゃんは、だらしなさすぎだろ。

嘘のきょうだいごっこ、それでも零がそう言ったから、嬉しくて、

自分だって私がいなきゃ食管理ずぼらなくせに。だめ弟。とからかった。

零も恥ずかしかったのか、わざとらしくプンプン怒ってたけど、その顔は真っ赤で、

このぬるい家族ごっこに零も参加してくれていることに、ただ安堵した。


ただ、零には引き取り先の親が、幸田さんがいた。


寄り合って取る夕飯のとき、どちらからでもなく互いの話を何気なく話す。

その強張った口調に、零には義姉がいたことを知る。


跳ね除けられず、突き放せず、



地の底から這い上がってくるような台風の中、引き取り先で零は過ごした。


嫌われないよう、家事を手伝い、棋譜にのめり込み、

そうやってひたむきに続けた努力が零を孤立させ、



ここへ追いやった。


優しい零は、身動きがとれない。



ならば、私が動けばいい。


義姉の香子という女が零の部屋に押しかけてきたのは、私が出勤間際、零に昼間にクリーニングを頼もうと廊下に顔を出したときだった。
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