オールジャンル花言葉夢

□華巳聯の恋U
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ーーーーーこの感情をなんと呼ぶのか、幼い頃は知らなかった。


今ならわかる、どんなときでも俺がつまずいたとき、

負けっか!とプレッシャーを跳ね除ける、そのエネルギーの元を


日々、自分の体と戦っている自分より小さな女の子が、俺に、

苦難の中でも戦うことを教えてくれたから。




地域の子供会、もうすでに当時の俺には、こんなん参加してもおもしろくねーよ、って反感があった。

でも親がうっせーし、少年野球も上の学年だけで試合で、低学年の俺らは休みだった。

ふてっくされて子ども会に追い出され、そこで顔色が真っ白な小さくて人形みてーな女の子に出会った。


俺も、周囲のやつらも夏といえばバカみてーに日にやけて外を飛び回って、焼けた皮膚がむけてまた焼けて、の日々。

強烈に目立っていたのをよく覚えてる。


俺も名無しさんもぎりぎり前日参加でねじこまれたもんだから、人数が余り、

心臓が弱くてあんまり外に出れないから上の学年の子のほうがいいと、俺が世話を頼まれて。


泣きそうなその手を引いて、歩いたあのときのことは忘れない。周りのやつらがうるさいのも、そのときは気にならなかった。




ーーーーーーただ、


オレはおまえのおにいちゃんだから!


俺がそのあとそう言ったのは、周囲に、たった一個下の女の子の所へ、次の日からせっせと見舞いに出かけるのをからかわれたとき、

とっさに、名無しさんは妹みてーなもんで、家族から頼まれてるからいいんだ!って言っちまったからに他ならない。


だから、おにいちゃんでいいんだぞ。


そう俺が言って、嬉しそうに頷いた名無しさんは、

ほんとうに妹みたいに可愛かった。



そして、俺は数年後に自分の発言を呪うはめになる。


小学5年の夏に。








「華巳聯の恋」








ーーーーーーー梓おにいちゃん。


にいちゃんと呼べ、と

俺が兄貴だと、言ったのは確かに俺だ。


けど、日に日に触れているにつれ、感情が動き、


親に妹が生まれるーーーーと聞いたとき、

そして、それを名無しさんに告げて、名無しさんが正直に俺の言ったまんま、ほんとうに俺を兄貴だと思っているという今更な事実にーーー



これ、俺の完璧片思いか!?

思い知った小学5年の夏。


初めて抱きしめて、死ぬほど顔が熱くて、手が離せなかった。


妹みたいに可愛い、という感情が、いつのまにか初恋だったことを知る。


だけど、もうおにいちゃんと呼ぶなと言ったら、多分名無しさんは自分がもう要らないんだろうって思ってしまう。


違うーーーーーーーそうじゃない、絶対に。


だから、もう本当の妹たちの話をしないと決めた。

名無しさんが比べたりしないように、無駄に傷つけないように。



そうして、ただの初恋は年月を重ねるほどに、




本当の、恋になる。





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