Cake

□Christmas Cake
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街のあちらこちらから聞こえるジングル・ベル。
イルミネーションも華やかで、行き交う人々の顔はとても明るい。
赤と緑に彩られたカラフルな街の様相に、悠理の機嫌も良い。

「せーしろー、お前何欲しい?」

突然の悠理の言葉。
その言葉に隣を歩く悠理に目を向けると、その顔はいつもよりも鮮やかで。
清四郎は無意識に緩む自分の顔に、思わず小さく苦笑した。

「急にどうしたんですか?」
「んー、ほらクリスマスが近いだろ。だから、せーしろーも
欲しいもんがあんのかなーって思ってさ」

手にした肉まんを口にしながら言う悠理に、更に笑みを深めた。

「何、笑ってんだよ」
「いえ、別に。欲しいものですか、そうですねぇ…」

顎に手を当てながら、考える素振りを見せる。
隣にある顔は、そんな清四郎の様子に大きな瞳を見開き、キラキラと輝かせている。
宝物を見つけたかのような瞳。
その瞳が何より愛しくて、清四郎は白い頬に自分の手を添えた。

「せぇしろ?」

きょとんとした瞳のまま問う悠理に、くしゃくしゃといつものように頭を撫でた。

「そうですね、欲しいものですか」
「あるのか!?」

期待に満ちた声。

「ありますよ」

その声にただ一つ声を掛けると、小さな耳にそっと囁いた。

























「今年のクリスマスは、悠理を下さい。それが、何よりも僕が一番欲しいものですから」





クリスマスは聖なる夜。
何よりも幸福で、何よりも愛しい、たった一夜の甘い夜。



終。

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