文章
□積もった雪に踏み込んで
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雪の降る2月14日、新八と神楽はお通のコンサートに出掛けていった
二度寝をしていつもよりだいぶ遅く起きた木曜日
冷える部屋で炬燵に浸かる定晴を尻目に新聞を取りに行く
手を突っ込むと紙より先に布の感触とぶつかった
不思議に思って取り出すと淡い青色の巾着袋だった
白い蝶々をほどいて開けると色とりどりの包み紙にくるまれたチョコレートがたくさんつまっていた
乱暴だとは思ったが袋を反対にして振ってみる
バラバラと落ちて中身は小さく畳まれたメッセージカード一つになった
開くとそこには
『生涯で唯一人愛する人
坂田銀時へ想いの限りを捧げます』
と綺麗な筆字で書かれていた
名前はない
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