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□悪いな 他をあたってくれよ
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「もし、」
その男はやはり後ろに立っていた
光を受けてぼんやり霞んで見える
「そこ、退いたら」
コンビニの入り口に居ては迷惑だろう
そう目で言うと相手は機嫌を害う風もなく俺の左側を通り抜けた
何だかそれが可笑しかった
歩き出そうとするとまた「もし、」と声が背中を触った
耳に残る、響くような、甘い声だと思った
ギユ、
振り向けばアスファルトと靴の間で痛がる砂利の悲鳴が俺たちの間を割った
「何」
「銀魂高校の、3Zの高杉さん、ですよね」
「・・・誰?」
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