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□店をとび出していっちまった
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落ちてくる水滴を眺めていれば時間は過ぎた
放課を告げるチャイムが響いたとき、勢いは朝ほど酷くなかった


「もう、やめよう」

「何を」


逃げ遅れた、と思った
苛立ったような、不機嫌な、尖った声


「何をやめるんでござるか?」

「・・・・・・雨を見ること」

「嘘だ」


お前と会うこと、とは言えない なのに透かしてくる


「・・・・・・帰る」

「答えてくれ」

「言っただろ、」

「晋助・・・」


宥めるように 諭すように 触れる声が 聴こえる音が 俺を責める

どうしろっていうんだ

万斉の脇をすり抜けて走った

溢れる心を押し込めた
裂けるような、刺されるような、
ぐちゃぐちゃしてる


手提げさえ、傘も持たず校庭を駆ける

冷たく言えたなら
非道になれたなら

温い水が頬を伝っていく
道化だ こんなの 本当に


「俺は、馬鹿だ」

「高杉・・・?」

「さ、かも、と・・・なんで、ここに」




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