小説
□黒き魔犬の牙
34ページ/34ページ
『ハヤテ!』
「アサノ!?」
『おいおい、俺っちを忘れて貰っちゃこまるぜ!』
「リック!」
やはり思った通りだ、さっき後ろに見えたのは自然に発生した雲では無くミサイルの出した排煙だった、つまりアサノとリックが援護してくれたのだ。
上空を見上げると見慣れたF-16の機影が2つ目に入った。
『ハヤテ、もうちっとしたら援護要請に応えてくれた味方が到着する。それまで持ちこたえるぞ!』
どうやら幸運の女神も少しは微笑んでくれたらしい、先ほど一時離脱した敵機をレーダーで警戒しつつ二人と合流しようと機首を上げたその時、
「!!」
視界に入ったのは3つの機影、だがリックは先ほど(もう少ししたら味方が到着する)と言った。
つまり今二人の後ろに見えるのは…
「リック!アサノ!後方敵機!!」
『助太刀禁止』
どうやら敵さんは共通回線がお好きらしく、先ほどまで追い掛けられていたのとはまた別な男の声が聞こえてきた。