小説

□黒き魔犬の牙
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自分がいま搭乗しているのはベストセラーと名高いF-16C。

しかしそれは低いコストで汎用性の高いある程度の戦略を有する事が出来るというのが理由であり、敵のSu-37のように高コスト高性能の一線級の機体相手には荷が重すぎる。

依然として回避機動を行っているにも関わらず、敵機との距離は徐々に、だが確実に縮まってきていた。

(こうなったらあれを・・・いや、あれはさっきの敵機を撃退した際に見られたはず、いまやっても見抜かれる可能性が高い・・・)

現状はジリ貧、しかも急旋回の連続で思考能力が落ちてきているのか、頭がボーッとしてきた。

(こうなったら、やらない偽善よりやる偽善・・・
じゃなくて、やらなくて後悔するよりやって後悔する方が良いだ!!)

後ろを振り返ると相変わらずピタリと張り付いている敵のSu-37。

(3回旋回した後に仕掛ける!)

もしかしたら手の内を読まれているかもしれない、だがこのまま鬼ごっこを続けても事態が好転するとは思えない。

ならば、イチかバチかに賭けるだけだ!
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