小説
□黒き魔犬の牙
32ページ/34ページ
1回目の旋回、敵も鬼ごっこに飽きたのかさらに距離を詰めてくる。
2回目の旋回、Su-37からガンアタック、機体を掠めるが命中はせず。
3回目の旋回、
(いまだっ!!)
旋回の終了間際にスロットルMIN、エアブレーキON、操縦桿を左手前に引きバレルロール、敵のオーバーシュートを誘う。
機体の急減速に体がハーネスに食い込み、血液が体の前側に集まり視界が赤く染まる。
だが、赤く染まった視界に敵の姿が現れる気配がない。
急減速の慣性でうまく動かない首で後ろを振り向く。
と、そこで視界に映ったのは自機を追い抜こうとしている敵機の姿では無く、Su-37の独特な下部の姿だった。
(やられたっ!!)
それが意味する事、それは敵はこちらの意図を読み、フランカーシリーズ特徴でもあるコブラでオーバーシュートを防いだのだ。