Novel Oshitari×Atobe

□内緒話
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「「「うん!」」」
腹を括って最終確認を問う忍足に、待ってましたとばかりに三人の返事が見事に揃う。
「跡部の色はなぁ〜……」
思い出しているのかそこまで言って肝心の答えをすんなり言わない忍足に三人の熱い視線が集中する。
「うんうん!」
相槌を打つジローは相変わらず忍足に抱きついていて、その目はいつになく輝いている。
それほど忍足の答えに期待しているのだ。

「なんちゅーか……、生えてへん……」

忍足がやっと答えた内容は衝撃的だったようで、あからさまに驚いた顔をした三人。

「「「えー??!」」」
一瞬静まり返った後、またまた謀ったように同じタイミングで驚きの声を上げる三人の様子に苦笑いをこぼす忍足。
「跡部ってまだ生えてなかったのかよ?!」
なぜが頬を染めている宍戸。
「信じられねぇ」
軽蔑するかのような口振りの向日。
「うそうそマジ〜?」
回答を得られて先程よりも更に目を輝かせているジロー。

三者三様の反応をみせているところへ、テニスボールが飛んできて忍足の体に直撃する。
「痛っ……!」
ボールが当たった上腕を咄嗟に反対側の手で押さえる忍足。
「危ねぇな!」
宍戸が声を荒げ、その場の四人がボールが飛んできたと思われる方向へ視線を向ける。
そこには話題の人物跡部が心なしか頬を赤く染め、こちらを睨み付け、隣にいる監督は驚いた表情で跡部を見つめていた。
瞬時に四人はテニスボールを忍足に投げ付けたのは跡部で、しかも故意にやったのだろうと悟る。
「てっめぇー!適当なこと抜かしやがって!!!」

猛ダッシュで忍足の所まで駆けてきたかと思えばいきなり胸ぐらを掴む。
「跡部、聞こえてたん?」
まさか聞こえていたとは微塵も思っていなかった忍足は恐る恐る声をかけた。
向日、宍戸、ジローは驚いてその様子を見守るしかできずにいた。
「嘘吐いてんじゃねーよ!生えてるのをてめぇが剃ったんだろ……!」
跡部は怒りで周りの状況をよく判断できず、馬鹿正直に普段なら絶対言わないような事を口走ってしまう。
夜の営みを跡部自ら言ってしまうとは思ってもみなかった四人は硬直してしまう。
「でも跡部、もともとほとんど生えてへんかったんやから……」
「あーん?うるせえ!」
そう言って俯いた跡部の蒼い瞳はウルウルしていて今にも涙が零れ落ちそう。
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