longstory:BARARA
□Remember me 1
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この時が、何時終わるとも知れないのに。
+++Remember me+++
守りたい。
放したくない。
離れたくない。
そう、強く願ったのは。
あの時が初めてだった。
壊れていく様を他人事のように眺めながら。
感情を抑えられる心と。
いつでも笑みを作り出せるこの感情に。
あんなに感謝したのも。
あの時が初めてだった。
『この体も。』
『この心も。』
『もう。戻れはしない。』
自分に得られる物なんて。
この世にはないと思っていた。
いつも。
形のある物は失われていくだけで。
少しの記憶と。
大きな悲しみを残していくだけだ。
『もう。』
『時間がないんだろうか。』
『声も。』
『呼吸にしかならない。』
それは。
とても苦痛なことだと。
そんなことは、解っていたんだ。
解っていた、
つもりでいたんだ。
『覚えてるか?』
『俺は。』
『ここに居る。』
『今でも。』
『ここに居るんだ。』
それを肯定したのは、 自分。
それを、隠して染めたのも。
自分だ。
『今頃。』
『なにしてる?』
『笑ってるよな?』
『…怒ってるかも知れねぇな。』
『でも、』
『泣いてる事は、無いだろうから。』
俺は只。
幸せをおまえに教えたかった。
笑える事の幸せを。
泣ける事の幸せを。
生きる事の幸せを。
おまえに。
知って欲しかったんだ。
元就。