バサラ長編夢

□野菜は新鮮なものが良い
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私がスーパーの野菜コーナーで腕を組みながら悩むこと数十分。


周りからは変な目で見られるが、気にしない。

今まさに、ここは私の戦場といっても過言ではないほどに私は気を張っていた。





「…丸ごと、いやあっちは半額だしな…」


目の前のキャベツ、それが私の悩みの原因だ。


独り言をぶつぶつ言いながら、やっぱり悩む。





一つは丸ごとで158円。
もうひとつは四分の一で83円で半額のシールがついてる。


いつもの私だったら、喜んで四分の一を取るだろう。



だが、今日の私は違う。


今日は、今日の夕飯ばロールキャベヅが食べたい…!


丸ごとだったらちょうどいいが、一人暮らしの私には絶対多い量だ。腐るか、余らすだろう。
四分の一は多さとしてはちょうといいが、はたしてあの大きさの葉でロールキャベツが作れるだろうか。




丸ごとを買うか、四分の一を買うか。

まさに人生の選択を迫られているような感じだ。







「……おい」

「っ!?……って、片倉さん!」



…よりにもよって、あんまりこういうの見られたくない人に見られてしまった。

急に話し掛けられ、何故か気恥ずかしくなって。
少し赤くなった顔を誤魔化しながら、話を続けた。




「き、奇遇ですね。片倉さんも買い物ですか?」



前の一件があったことで、前よりは片倉さんに慣れたと思う。


先輩のおかげかな、きっと。



「ああ、ちょっと買い出しにな。で、なに悩んでたんだ…?」

「え、あの。…ちょっとキャベツが、ですね…」



言葉を濁す。言ったら鼻で笑われそうだから。
いや、多分それはないだろうけども。


そうやってゴニョゴニョと曖昧なことを言ってたら、片倉さんの顔が不機嫌になってきて。

…つい言ってしまった。



自分のバカ……。







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