バサラ長編夢

□男は狼なのです
1ページ/2ページ






「…あ、シャー芯がない」


カチカチと何回かシャーペンを促しても、出てこない。


しまった。今日の帰り買ってくればよかった。



「…困ったな」


今書いていたレポートは明日提出だ。
これを出さなかったら、私の単位が危ない。

ちらり、と時計を見た。
…23時か。


コンビニは歩いて10分。


……急いで帰ってこれば、レポートはギリギリ間に合うかな。



面倒だが、仕方ない。

財布と携帯を手に、部屋着を着替えると重たい足取りで部屋を後にした。

















コンビニでお目当てのシャー芯とついでにアイスを買った、帰り道。


もう春なのに風が冷たい。

ジーンズにTシャツというラフな格好な所為か肌寒く感じて。




アパートの近くの公園に着いた。
夜中で誰もいない公園が照明でボンヤリ照らされてる。


怖いと思いつつも、ここを通れば近道だ。少しは早く帰れる。




じゃり、と一人分の足音が響いて。



「…怖くない、…大丈夫、怖くない…」



独り言を言って誤魔化す。


声も一人分だと、思っていたが、違った。




「…かーのじょ、一人?」


え、と振りかえると若い知らない男の人。


古くさい言葉に眉をひそめつつ、シカト。

ナンパされたって喜ぶことはなく。



「なーんだよ、シカトすんなよ」


進路を塞がれる。

うざい。この人はあれか、セールスマンか。


「…すいません、急いでますんで」

「待てって、つれないなー」


強い力で腕を掴まれる。 そのまま、男にの方に引き寄せられて。

近づいてみたら分かる。
この人、お酒臭い。



「…離して下さい!」



ヤバイと思い、声を張り上げるが、力は強まるばかり。

抵抗、しても無駄だろうと、こっちに来る前に習った護身術をお見舞してやろうとしてたら。


「…悪いな、こいつは俺の連れだ。」


ぐい、と。
片倉さんの胸のなかに納まる私の身体。


…助けられた?





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ