色んなジャンルの夢

□歪な愛
1ページ/6ページ

例えば、好きな人が最愛の妹に思いを寄せといたとして、果たして私の思いは届くのだろうか。
答えは否だろう。
じゃぁ、今ここで、私が死んでも家族しか悲しまないのか。
答えは、今目の前にある。

目の前で血を分けた妹は泣いていた。
必死に回復魔法をかけ、ゴルベーザに刺された場所をなおそうとしている。
あぁ、可哀想に私のせいで美しい顔が台無しだ。
姉さん、姉さんと呼びかけてくれている。
彼女の手を取り回復魔法をかけるのをやめさる。

『もう、いいよ』
「諦めないで、た、助かるわよ姉さん」
『自分の体力くらい自分でわかる』

視界がボヤける。
戦いはやんだのか、静かだ。

「なでこ」
「おい、誰か清潔な布を『もう、いい』何言ってるんだ、諦めるなんてお前らしくない」

お前らしく、で涙腺が崩壊し、私の中の何かが崩れた。

『私らしくて、何だろ』
「姉さん?」
『私は、なんだったんだろう』

目を閉じた、起きて!とか、起きろ!目を閉じたら駄目!なんて、みんなが叫ぶ。
それと、同時にあの秘密を守れたんだと、安心感が生まれた。
最後の力を振り絞って、カインへ思いを伝える。

『ごめんね、カイン、私は貴方を愛してる』

呪いのような告白。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ