12/11の日記

18:18
天然革の加工(2)
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●その他
「エナメル革(パテントレザー)」
クロムなめしをした後、銀面に合成樹脂(エナメル、ポリウレタン樹脂)を塗装して光沢を出したものです。日本の漆塗りをヒントに考案され、アメリカで開発しパテントが取られたことからパテントレザーとも言われています。仔牛、仔山羊、馬革等を使い、靴甲革や和装の草履、オペラ・パンプス等に使用されます。汚れが付きにくく手入れも簡単ですが、寒さに弱いのとひび割れしやすいのが難点です。
「型押革」
なめし加工をした後、皮の表面に加熱高圧プレス機でワニやトカゲなどの模様をつけたものです。イギリスのペポディ社の製品が有名ですが、近年では技術が多様化し多くの商品が生み出されています。エンボス加工、スタンプレザーとも言われます。
「シュリンク革」
縮革とも言われ、なめし加工の途中で薬品を使って表面を縮めたものです。シワ(シボ)を出すことによって本来の銀面模様をより強調させており、「揉み革」よりもシワが強調されています。
「エルク革」
本来は大鹿の革のことですが、現在ではクロムなめしの牛革を柔らかく揉んだもので、粗めのシワ加工をした革のことです。
「ナッパレザー」
本来は羊革、山羊革を手袋、衣料用革などに仕上げた銀付き革のことです。現在はクロムなめしをした牛革、仔牛革、仔羊革を回転するドラムの中で揉んでシワを付けた物がほとんどです。非常に柔軟で衣服や靴の甲、カバン等に使用されているものもこう呼ばれているものが多くなっています。
「揉み革」
スコッチ・グレイン・レザーとも呼ばれ、なめした後、揉んでシワをつけた革のことを言います。大鹿に似せたエルクの他に水しぼ、角揉み、八方揉み等があります。
「ボーデッドレザー」
表面に軽いしわ加工や型押しを行い、細かな線模様を入れた革です。
「モロッコ革」
小石を敷いたような独特の模様の革で、山羊革をタンニンでなめしたものです。
「オイルドレザー」
動物油(主に魚油)でなめした革で、オイルによる撥水性により水分による劣化が少なくしっとりとした感触です。独特の光沢、色むらと粗い表面が特徴で、オイル・レザー、オイル・アップ・レザーとも呼ばれています。
「底革」
本底用になめした革で通常は成牛革を使用しています。厚いまま硬く仕上げているので靴の底等に使用されます。
「ブライドルレザー」
フルグレインカウハイドをタンニンでなめした後、長期間蜜蝋に繰り返し漬け込んでなめした耐久性の高い素材でブライドル(クツワなど馬具の総称)用にイギリスで開発された加工法です。蝋でコーティングされている為、変色や雨に対して強く、使い込むほどに光沢が益し、耐久性に優れています。使い初めにブルームと言われる白い粉を吹いていることがあります。
「ぬめ革」
タンニンでなめしただけの染色も塗装もされていない革で革そのものの味わいがある。使いこむことで飴色に変色し風合いが増しますが、水や油に弱いです。


加工革はまだまだあるのですが、主に耳にしたことがあるものはこれくらいでしょうか。起毛加工等は呼び名が違ってもほとんど同じものだと思っていましたが、やはり厳密には違うものなのですね。見分けられる能力などは到底つきそうにはありませんが、これからは少し気にして皮の表面を見てみたいと思います。


財布

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18:18
天然革の加工(1)
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以前お伝えしたように、あらゆる動物の「皮」は一旦「なめし処理」を施した後に「革」となり商品として取引されていきます。そして、お財布やバッグ、ベルトなどのような革製品となっていくのですが、ほとんどの物は加工されて製品となっていると言えます。例えば、表面がツルツルしているとかメタリックな光沢があるとか、革は牛なのにクロコダイルの模様になっているとかは加工製品ですよね。そうでなくても、天然のままのカラーで製品となっているものは非常に少なく、ブラウンと言えども染色という加工がされていると思います。
そこで、今回は天然皮革の加工の種類について簡単に調べていきたいと思います。
ちなみに、まったく加工をしていない皮のことを『地生(じなま)』と言い、生革のまま取引されていた国内産の牛革のことを指すそうです。

革の加工の種類を大別し「スムース革」と「起毛革」と「その他」と言うように3種類に分けてみました。
●スムース革:鞄に使用されることが多い2mm厚程度のボックスカーフで、使っているうちに風合いがでてくるのが特徴です。
「銀付き革」
スムース革と呼ばれるのは主にこの革で、天然の革の銀面(表面)を活かした純正の革です。なめして染色し、カゼインおよびラッカー仕上げされるものがほとんどです。本染め革とも言います。厚い革を2枚か3枚にスライスした一番上の1枚目(表面の付いている部分)を銀付き革と言い、2枚目、3枚目をそれぞれ一番床革(とこがわ)、二番床革と呼んでいます。ボックスカーフやアニリン革などが代表的で、美しい表面と優れた耐久力、艶のある快適な使用感が特徴です。靴甲革、鞄・袋物用革、ベルト用革、衣料用革、インテリア用革として、圧倒的な人気を得ています。
「ガラス張り革」
主として成牛革を使用し、なめした革を平滑なガラス板やホーロー板に貼り付けて乾燥し、銀面をバッフィング(磨き処理)し、合成樹脂で塗装仕上げをしたものです。堅牢で手入れが簡単なので、タウンシューズ、学生用靴、鞄などに使用されています。現在では国内の生産は少なくなっています。


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●起毛革:牛革だけでなく他の動物の革の裏面などを使用し、ケバ立たせた手触りの良い加工革です。
「スウェード」
クロムなめしをした革の肉側の面をバッフィングした後、サンドペーパーでベルベット状に起毛させた革で、毛足が短くソフトなものほど上質と言われます。使用革は仔牛、山羊、羊、他小動物などで、靴甲革、バッグ、衣服などに使われます。語源は、スウェーデンで考案された技術だと言うことからこう呼ばれています。
「バックスキン」
バックとは鹿革(BUCK)の総称で、特に牡鹿の革を指します。表面(銀面)を除去しバッフィングした後、スウェード革のようにビロード状に起毛させた革です。極めて柔軟なことが特徴です。しかし、今では同じように起毛加工された牛革や羊皮の「ナップド・レザー」のことを指すこともあります。
「ヌバック」
バックスキンに似ていることから、NEO(新しい)BUCKと呼ばれたことが語源とされています。スウェードとは逆に銀面をバッフィングして起毛仕上げをした革で、バックスキンより目の細かいサンドペーパーを使うためスウェードやベロアより毛足が短く、ビロード状をしています。子牛革、成牛革やその他の動物革から作られます。スウェードのように靴甲革、バッグ、衣服などに使われ、防水加工をしたオイルド・ヌバックはアウトドア・シューズ等にも使われます。
「床革(とこがわ)」
革を水平に2層以上にスライスし、銀面層以外の床革を原料とした革です。ベルベットの様なケバに仕上げた革を床スウェード、それよりケバの長いベロアの様に仕上げたものを床ベロアと呼びます。作業用手袋に使用したり、表面をラミネート加工や塗装加工をして靴甲革やベルト用の革などに使用されたりしています。
「ベロア」
成牛革の裏面を起毛させた革で「ナップド・レザー」とも呼ばれます。スウェードよりも粗く、毛足が長く、デザート・ブーツやワラビー等に利用されています。
「セーム革」
山羊や羊などの革を油でなめして、スエード状に仕上げた革です。時計や貴金属を磨くのに利用され、柔らかく、しなやかで洗濯ができるのが特徴です。
「シルキー」
仔牛の革でスエードと同じように作られますが、さらにソフトで最高級品と言われています。


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