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Re:短編小説
yuto.
[ID:sokahagan]
【さくら】
君がこの世からいなくなってから、もう4年が経つ。月日が過ぎるのは早いものだ。
僕は未だに君の眠る墓には行っていない。行く勇気が出ないのだ。君が”死んでしまった”という事実を認めてしまうのが嫌で。…自分のこの目で君が息をひきとる瞬間を見ているというのに。
ある春の日の午後。その日は君の命日だった。僕は自室で絵を描いていた。窓から見える1本の桜の木の絵だ。今年は開花の時期が遅く、まだ八分咲き程度。
あの桜の木は君との思い出の場所だった。
僕は窓を開け桜を見つめた。
その時だった。僕に吹きつけられた突風。目をつむって耐えた。桜の花弁と嗅ぎ慣れた匂いが鼻をくすぐった。
―この香りは…確か―
君が好んで使っていた香水の香りだった。ふっと桜の木の元を見ると白い影が見えたような気がした。もしかしたらと思った。そんな非現実的なことがあるはずないが、ほんの少しの希望をもって部屋を飛び出した。
桜の木の元にあったのは、風で飛んできたコンビニの袋だった。
―やっぱり、そんなことあるわけないよな―
そう溜め息を吐いた時、根本に何か光るものを見つけた。指輪だった。それは僕が君にあげたはずのものだった。見間違えるはずもない、僕がつけたしまった傷があったのだから。
そよ風が髪と頬を撫でた。まるで”私はここにいるよ”と言っているかのように。
自然と涙が出た。君がいなくなってからというもの一切出なくなってしまった涙が花弁と同時に地面に落ちた。
君に会いに行ってみようか…。ふっと思った。そろそろ前を向き直す時期なのかもしれない。
墓の前には一人の女性が座り、手を合わせていた。40代位だろうか。その背中はとても頼りがいのない小さなものだった。
女性がふっとこちらに顔を向け目を見開いた。僕も驚いた。
「…来てくれたのね。」
「お久しぶりです。おばさん。」
「ずっと、あなたに渡さないとって思ってたの。…あの子からの手紙よ。」
手渡されたのは小さな白い封筒だった。中に書かれていたのは君からの最後のことば
『ずっと、ずっと大好きだよ』
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春っぽいのを書こうとしたのに…あれ?
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